負の財産を活用してまち全体を一つのホテルとして再生

長崎県平戸市。

かつては海外との貿易港として栄え、城下町の美しい街並みも残っている。

一方で、この50年で人口は半減し、現在は27000人ほど、空き家の増加も、大きな課題となっている。その解決に平戸市が乗り出した。

黒田成彦市長(取材当時)
「空き家という空き店舗という負の財産をホテルやレストランに改築することで、まち全体が一つのホテルとして生まれ変わる」

「アルベルゴ・ディフーゾ」“分散型の宿”を意味するイタリア発祥の観光を、いま平戸市が目指している。

地域に点在している空き家や空き店舗を、行政から支援を受け、まちの事業者がホテルやレストランに改修。まち全体を1つのホテルに見立てた観光モデルだ。

これに6つの事業者が手を挙げた。

そのうちの一つ、ゲストハウスのオーナーはオランダ出身のレムコー・フロライクさん。

レムコー・フロライクさん
「これが明治時代の姿で、この写真をベースに改修を行ってたんですよ」

国の登録有形文化財でもあるこの家を、レムコーさんは11年かけて友人や家族ともに修繕してきた。

レムコー・フロライクさん
「なるべくこの状態に近い状態にまたしようっていう。その建てたときの思いが少しでも伝わるようなものになってほしいなと思って。最初はオランダの交流事業の仕事をするために来たんですけど、すぐ好きになって、気付いたら18年」

最高のおもてなしをするために、その日のゲストに合わせた小物を準備するという。

オリジナルのせっけんにはさわやかな初夏の香りがただよう、平戸夏香(なつか)とつばき油が使われている。

レムコー・フロライクさん
「なによりも楽しい。個人にあったサービスと、あと平戸のものにこだわっている。この平戸の先祖が残してくれた文化や歴史を大事にしないといけないというのが我々の使命」