女子野球の現在地と未来「この先にもっといいことが待っている」

そんな2人が口を揃えて願うのは日本の女子プロ野球復活だった。21年に経営難や選手減少などにより無期限休止となった女子プロ野球は事実上、消滅。現在ライオンズ・レディースは関東女子硬式野球連盟が運営するリーグ、ヴィーナスリーグに参加してるほか、クラブ選手権や全日本選手権などの大会に出場している。

小櫃は女子野球の現状をこう語る。「人口は増えているけど、世間的には全然。知らない人の方が多いし、知名度が一切ない」。続けて、女子選手のパワーやスピードを生かせるような環境づくりや柔軟さにも言及し「距離を縮めていくのもいいと思う。グラウンドのサイズも男子と同じである必要はないし、野球の面白さは三振やホームラン」。プレーヤー目線での考えも示した。

日本の女子野球はワールドカップ7連覇と世界屈指の強豪国でありながら、その実態を知る人は多くはない。競技レベルの高さとは裏腹に、国内での認知度や注目度は十分とは言えず、発展に向けた大きな課題とされている。多くの選手は、生活のために他の仕事と掛け持ちをしながら競技を続ける厳しい環境に身を置く。それでも彼女たちの野球に懸ける思いは揺らぐことはない。

米谷は今回のアメリカ挑戦を通して、日本女子野球の可能性にも思いを巡らせる。「アメリカでは、野球だけでお金をもらえる。それが日本にも流れてきてほしい」。さらに、次世代の選手たちに向けて「今女子野球をやっている子たちは、続けていけばもしかしたら、この先にもっといいことが待っているんじゃないかと思う」と希望を込めた。

小櫃もまた、日本の女子野球の未来に明るい兆しを感じている。「高校も大学もチーム数が増えている。アメリカにもプロ野球ができるってことで、(環境は)良くはなってるのかなと思う」。新たな挑戦を前にした率直な思いものぞかせた。「アメリカに行くことになっているけど、正直どうなるかはわからない。だからこそ、温かい目で見守ってほしい」。

「一緒に見ながら応援してもらえたらありがたい。何もない人生より、楽しい方がいいと思う」と新たな挑戦に臆せず、楽しむ気持ちを言葉にした米谷。日本の女子野球の未来を背負い、2人は未知の舞台へと歩みを進める。その一歩が、新たな可能性を切り拓くきっかけとなる。