電通の新入社員だった高橋まつりさんが過労のため自ら命を絶ってから25日で10年となるのを前に、母親の幸美さんが手記を公表しました。
【手記全文】
まつりの10年目の命日によせて
元電通社員 高橋まつり母 高橋幸美 2025年12月24日
まつりがいない10年目のクリスマスを迎えます。
2015年12月25日クリスマスの朝まつりはわずか24歳の人生を閉じました。あの日から10年という長い年月、何度季節が巡っても、私の時間はあの日のまま止まっています。どんなに時が過ぎても、まつりは大切な愛しい娘です。はじけるような笑顔、「お母さん、大好き」と抱きしめてくれたぬくもり、一緒に登った富士山、「お母さんいつまでも元気でね」と食事に連れて行ってくれた10日後、冷たくなったまつりに会いに行くことになるとは思いもしませんでした。あの日を思うたびに胸が張り裂けそうです。
10年という月日は決して最愛の娘を失った悲しみを癒すものではありませんでした。むしろ歳月を重ねるほど、本当ならばここにいるはずのまつりの人生を思い描き、苦しみは増すばかりです。
まつりは、恵まれない境遇から努力を重ね、懸命に生きてきました。しかし、希望を持って入社した電通での勤務は想像をはるかに超える過酷なものでした。眠れないほどの長時間労働とパワハラに追い詰められ、逃げる力を奪われたのです。最後のメールには「大好きで大切なお母さん、さようなら。今までありがとう。仕事も人生もすべてが辛いです。お母さん、自分を責めないでね。最高のお母さんだから」と書かれていました。
電通は労働環境改善の取り組みを続けていると話しています。まつりが生きている時に改善していたら、まつりは命を落とすことはなかったと思うと悔しくてたまりません。今後もまつりの記憶を風化させることなく、全ての社員と会社を取り巻く全ての人の人権を尊重した経営が行われるよう見守りたいと思います。
日本では長年、過労死が相次ぎ、2014年に「過労死等防止対策推進法」、2018年には長時間労働を規制する「働き方改革」が成立しました。しかし依然としてまつりと同じように仕事で追い詰められ、命を落とす人が後を絶ちません。過労死は、若くて健康な人、経験豊富な人、様々な職種で起きています。なぜ、人手不足になるのか、長時間労働になるのか、どうしたら健康で働ける職場をつくれるのか、国全体で働き方の構造を丁寧に検証して対策を進めて欲しいと思います。働き方改革をさらに進め、全ての人が希望を持って人生をおくれる国にしてほしいと心から願っています。「働くことが人の命を奪ってはならない」その当たり前のことをかつて日本中がまつりの死を通して気づいたはずです。
10年目の命日に寄せて、私は改めて強く願います。これ以上、まつりのような過労死の犠牲者を増やさないでください。私のように大切な家族を失う人を増やさないでください。まつりの命は取り返すことはできませんが、まつりの死が報われるとしたら、「働く人の命を奪わない社会をつくる」という約束だと思います。私は、まつりと過ごした愛しい時間を胸に、まつりの生きることができなかった未来が明るいものになるように、これからも過労死根絶のために力を尽くしてまいります。
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