「赤字でも」業界を変える戦略

【全て読み切り】というのも手に取ってもらう戦略の1つです。

「GOAT」編集長・三橋 薫さん:
「仕事とか子育てとかの合間に、“ラフな感じで読んでもらいたい”

一般的に、文芸誌は連載作品が多いのですが、読み切りにすることで“どの号からも楽しめる”。冲方さんは、こうした手法が新しい読者の心を掴んでいるといいます。

小説家・冲方 丁さん:
「各々の雑誌に歴史があるので、歴史を背負ってるからこそ出来ること・出来ないことが生じる。新しい読者へのアプローチにちょっと悪戦苦闘しているなか、GOATは一点突破で、“今の読者に照準を合わせて、歴史がない自由さを存分に生かした”

表紙にこだわり、作家陣も豪華なGOATですが、売れる最大の理由は「手に取りやすい値段」。一般的な文芸誌が1000円以上するなか、GOATはその名前にちなんで510円です。

「GOAT」編集長・三橋 薫さん:
「採算を取る考えではやっていない。単体で赤字でも累計30万部以上売れる⇒書きたいという魅力的な作家が集まる⇒魅力的な作品が生まれるという流れ。ここから書籍を出して、映像化していく中で収支を立てていくという考え方でやっている」

冲方さんも「この成功例が多くの雑誌にもいい影響を与えてくれるかも」と話す新しい本の売り方が、今後広まっていくかもしれません。

(THE TIME,2025年12月23日放送より)