皮を剥がされたクマ
山の麓にあるクマの解体工房にも潜入した。扉を開けると、皮を剥がされたクマが吊るされていた。内臓も取られ、血抜きも済ませ、解体を待つばかりのクマで、体調1メートル、体重は約100キロ。全身の9割は淡いピンク色に染まっていたが、それが脂肪で、冬眠を前にエサを食べ脂が乗った状態になっていた。

この脂肪があるから、これをエネルギーに変えながら、長い冬眠にも耐えられるというのだ。ただ、この脂の乗り具合を見て、山の状況が見えるのだと教えてもらった。
この脂の厚みが10センチほどあれば、エサを充分食べたクマ。僅か数センチしかなければ、あまりエサを食べられなかったクマという証なのだ。

私が目の当たりにしたクマは、全体的に脂は薄く、エサは充分には食べられなかったと思われる。だから、エサを求めて人里まで降りてきたのだが、そこで捕獲されてしまったのだろう。解体したからこそ分かる、今年の山とクマのエサ事情ということか。














