■初期費用98万円は補助金で負担=新築を建てる人以外の1人1人の税金も含まれる

井上キャスター:
太陽光パネル義務化の費用はどう負担していくのでしょうか?東京都によりますと、4kWの太陽光パネルは、初期費用が98万円かかるそうです。これには、東京都からの「補助金」が出て、余った電気を電力会社が固定価格で買い取ります。そうすると、6年程度で費用の回収可能としています。これは、新築を購入して設置した方の場合です。

東京都からの「補助金」というのは、もちろん1人1人の税金です。ということは、今もう既に戸建て住宅に住んでいる方、マンションに住んでいる方などについては、負担が増えることが考えられます。

また、固定価格で電力会社が買い取るというのは、「再エネ賦課金」として全ての人の電気料金に上乗せされているものです。「再エネ賦課金」が、またさらに上がる可能性も指摘されています。

キヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は「東京都は国民に付け回される負担について全く説明していない。新築を購入できる高所得者を優遇している面も」と指摘しています。

■森永教授「都心に一戸建て住宅 一部の富裕層だけ」

井上キャスター:
太陽光パネルの自然災害のリスクについて見ていきます。東京都発表の参考資料からの抜粋です。

【台風】
耐風圧がJIS規格で定められていて、風速毎秒62mに耐えうる設計となっているそうです。
【水害】
水に弱いので、水没・浸水した場合の感電による事故等の事例はないと聞いている。一方、接近・接触すると感電する恐れもあることから、十分な知見を持つ専門家へ依頼することが必要としています。

他にも、太陽光パネルを設置する方向によっては、反射光による近隣トラブルが多発する可能性もあります。

太陽光発電の販売・施工などに20年以上携わる小島盛利さんは「都民に対して太陽光パネルを設置する環境効果、リサイクル、メリット、デメリットなど不安に感じるところへの説明が不十分である」と話しています。

ホラン千秋キャスター:
太陽光パネルは廃棄するときも大変で、日本は2030年代に大量廃棄問題を抱えている。廃棄するときにさらにCO2が発生することを全部換算すると、最終的にプラスなのかマイナスなのか。しっかりと見ていかないと、全体的に環境の負荷にもなるし、経済的にも負担になるならば、大変意味がないことなってしまいます。

獨協大学経済学部 森永卓郎教授:
東京都はリサイクル体制はもう全部準備できているので、そういった問題はないというふうに説明しています。太陽光パネル義務化に反対している人の多くが、実は原発支持派なんです。4kWの太陽光パネルを屋根に貼ると、ほぼ自給自足で発電ができてしまいます。今、日本全体で見ると、9割の屋根が開いてるので、ここに全部、太陽光パネルが普及すると、原発はほぼいらなくなってしまいます。それを恐れているというのと、もう一つは東京都に限って言うと、一戸建て住宅は、東京都心部にはあまりありません。主として多摩地域と島しょ部にありますが、結局、東京都は1kW当たり10万円の補助金を出してますから、多摩地域と島しょ部の優遇になってしまうのではないかと。都心部のマンション住まいの人の不公平感もあるのだろうなと思います。

ホランキャスター:
エリアによって、人によって享受できるものが変わってしまうと。

獨協大学経済学部 森永卓郎教授:
都心でも一戸建て住宅を持っている人はいるのですけど、太陽光パネルを設置できるような大きなものを持っている人は、一部の富裕層だけです。多分、東京の23区内に住む人は、マンションなどの人が多いので、太陽光パネル義務化の恩恵にあずかれないです。