福岡高裁の職権判断――「影響力」と「乗じて」の解釈

11月27日の判決で、福岡高裁はまず「監護者わいせつ罪」と「不同意わいせつ罪」の関係を整理した。

福岡高裁は
「『監護者わいせつ罪』が成立するためには、単に監護者が被監護者に対してわいせつな行為に及んだだけでは足りず、『現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて』の要件を満たす必要がある」
と指摘した。

そのうえで福岡高裁は
・「影響力」とは被監護者の意思決定に作用を及ぼし得る力をいう
・「乗じて」といえるためには、上記影響力を及ぼしている状態でわいせつな行為を行えば足りる
・被監護者が行為者を監護者であると認識していなかった場合など、監護者の上記影響力と無関係にわいせつな行為が行われた場合には、これに当たらない
と判示した。