テレビ局には番組を観た視聴者から様々な声が寄せられる。TBSテレビの「視聴者センター」は、こうした声を集約し番組制作の現場にフィードバックさせるのが仕事だ。担当者が寄せられた“声”の一端を紹介する。
気づけばもう12月。暑い日が長すぎて、秋が短すぎる、という声があちこちで聞かれます。今年も残すところわずかとなりました。
視聴者の皆様からはいつもたくさんのご意見、ご指摘をいただきますが、改めて学びになる、と感じたご意見をいくつかご紹介します。
情報番組のとある企画のテロップについてです。複数の意見をナレーションとともにテロップでも表示していたのですが…。
「コメントの男女の色分けに違和感があります。男性は青、女性は赤で書かれていますが、『昭和の常識、令和の非常識』を見ているようです。最近は、ランドセルの色も『男子は黒、女子は赤』ではないのです」(60代男性)
TBSの制作現場でも、このような色分けはしないものという認識が広まり、定着してきています。まれに使ってしまった際にこのような指摘をいただきますが、男性の意見に青、女性に赤、というステレオタイプな区別はしない、という考え方が世の中に定着しつつあることを改めて実感しました。
次に、スポーツの実況について、こんなご意見が。
「日本人選手だけで構成されているチームを紹介するたびに『オール日本人で…』と言っていました。すごい!と思っているようですが、今はそんな時代ではないと思います」(50代女性)
戦力補強のための外国人選手枠がルールで決められている中で、その枠を使っていないチームを「オール日本人」と紹介したのだと思われますが、この多様性の時代に「全員日本人であること」をことさら強調すべきでないと感じる方も少なくないのだと認識を新たにしました。
ヘルメットのかぶり方、カセットコンロの使い方など、安全にかかわることは、少しでも違っていたりするとご指摘をいただきます。
とある番組でカセットコンロを2台並べて調理していました。普段は数㎝の間をあけて使っているのですが、この日は番組後半で何かの拍子に間隔が近くなってしまったことがありました。
すると、「コンロを並べて使うのは危険だと思います」(30代女性)というご指摘がありました。確かに、隣のコンロの熱でカセットボンベが過熱してしまって危険です。細部にわたり注意深く番組を見てくださっているのだなとありがたく感じました。
ご指摘ばかりではなく、「この特集がよかった!」という声ももちろん多数いただいています。
昼の情報番組『ひるおび』にいただいたのはこちらです。
「先日警察官を装ったオレオレ詐欺の電話がかかって来ました。番組でよく見ていたので撃退することができました。途中からは録音もしました。本当にあるんだと実感しました。これからもこうした特集を続けてほしいです」(50代女性)
特集が役に立った、という声をいただけるのは、制作現場にとってうれしいことだと思います。
もう一つ、最近たくさんの「よかった!」の声が届いたのは、『THE TIME,』の「膝の痛み」に関する特集でした。
「寒くなってきて、ちょうど膝が痛くなっていました。タイムリーな放送で良かったです」(60代男性)
急な寒さが原因で急にヒザが痛くなるという、”ぎっくりヒザ”の特集で、原因と予防法などを放送したところ、20代~60代と幅広い層から多くの好意的なご意見をいただきました。この番組を生活に取り入れてくださっている方々の関心事を、タイミングよくお届けできたのかなと、ご意見をみて嬉しく感じました。
視聴者の皆様から届く的確な指摘や温かい応援の声が、番組制作には欠かせない「羅針盤」であり、原動力なのだと改めて感じました。
〈執筆者略歴〉
浜崎 由佳(はまざき・ゆか)
1995年TBS 入社。
ラジオ局、報道局、事業局などを経て、編成考査局。現在カスタマーサクセス室長。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














