「大切な人が事故に遭ったその時」を追体験してほしい

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「日頃、交通事故を、皆さん軽く考えていませんか?」

児島さんは、強い言葉で生徒たちに投げかけました。

(児島 早苗さん)
「日常会話の中でも『交通事故にあったようなものだ。まあ、事故だから仕方ない』の言葉が普通にあります。それほど交通事故は軽く済まされます」

「私たち遺族は、最近『交通事故』と呼びません。『交通事件』または『交通犯罪』と呼ぶようになっています。多くの人にとって、交通事故は他人事です」

そして、児島さんは生徒たちにお願いをしたのは、『事故の追体験』です。

(児島 早苗さん)
「今から皆さん、1つ一緒にやっていただきたいことがあります。自分にとって『この人をなくしたくない』という、かけがえない人を思い浮かべてください」【画像⑤】

「パパ・ママ、大好きなおじいちゃん、おばあちゃん。いっつも喧嘩するけど大事な弟、妹、お兄ちゃん、お姉ちゃん、仲の良い友達、好きな相手、誰でもいいです。1人思い浮かべてください」

児島さんは、再び健仁さんが事故に遭った当時の状況を話し始めました。

(児島 早苗さん)
「その人が今この瞬間、交通事故に遭うという追体験をしていただきます」

「皆さんが目をつぶっている間、会社にかかってきた1本の電話からのことを、もう少し詳しく話しますので、皆さんは他人事ではなく、それが今自分に起きているんだと想像しながら聞いてください。

「それでは皆さんもう一度俯いて、目をつぶっていただけますか?」