注目ポイントの1つ「年収の壁引き上げ」

 税制改正で検討されている“減税案”は以下の通り

■ガソリン暫定税率廃止
■購入する自動車の環境性能に応じた税2年間廃止
■住宅ローン減税5年延長 中古物件への支援拡大
■年収の壁160万円から引き上げ
■NISAの対象を0歳からに拡大
■企業への設備投資減税

 今回注目されるのが、年収の壁=税制上の扶養控除の壁(103万円)の引き上げです。

 去年まで税金がかからない非課税の枠というのが103万円まででした。この額を超えると、原則として所得税を払い始めることになっています。これを国民民主党・玉木代表の主張もあり、引き上げの議論が進み、一番高い枠で160万円に上がりました。しかしこれでも玉木代表の主張とは差があり、さらなる引き上げについての話し合いが来年に向けてなされています。

 現段階では168万円までたどり着いた、という話もある中で、178万円もとうとう見えてきたということです。玉木代表の思いはやっと届いたかに見えますが、玉木代表が主張しているのは「一律178万円」にすることです。
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 いまは階段方式になっていて、160万円まで非課税となったのは、年収200万円より少ない人です。あとは年収によってこの枠が、153万、133万、128万、123万となり、5段階にわかれています。

 「手取りを増やす」というキャッチフレーズで現役世代の人たちに支持をされた玉木代表としては、働いて収入を得ている人の手取りを増やすためにも、一律で178万に上げたいところ。160万円の“壁”が178万に上がるかもしれないというのは、年収200万円以下の人に限られています。それ以外の収入の人たちについての議論の行く先は、今は見えていません。

 一方で、高額所得者が恩恵を受ける必要は本当にあるのか、と玉木代表の考えを疑問視する声も上がっているといいます。
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 ではなぜ与党が玉木代表の顔色をうかがうような動きをしているのか。衆議院では自民199議席、維新34議席でぎりぎりで過半数233議席に届いているのが現状です。

 一方で、参議院では自民100議席、維新19議席で過半数の125議席まで6議席足りていません。誰かに“仲間”になってもらわなければならないというときに、「対決より解決」を掲げる国民民主党は仲間になってくれるのでは、ということで、顔色を見ているのかもしれません。