「議員定数削減」6割賛成も与党内には温度差

12月5日、衆議院議員の定数削減をめぐり、自民党と日本維新の会が共同で法案を提出した。この法案は、1年以内に与野党間で削減方法がまとまらない場合、「小選挙区25、比例代表20」を自動的に削減するというもので、世論調査では「賛成」と答えた人が59%に上り、「反対」(25%)を上回った。

この結果は、一見すると自民と維新の連立政権にとって追い風のように思えるが、室井デスクは「定数削減はあくまで維新のやりたいことであって、自民党は本音ではやりたくない」と解説する。

この2党の「温度差」を象徴するのが、法案提出後に、両党の実務者が記者団の取材に並んで答えた場面だ。

維新の浦野靖人・選対委員長代行は「私どもは『成立を目指す』ですので、成立までが仕事だと思っています」と、法案の成立に強い意欲を示した。

一方で、自民の加藤勝信・政治制度改革本部長は「我々としてのミッションという意味においては、先ほど事務総長に提出したところで一区切りしながら、これから成立を目指す過程の中で各党に法案の中身を説明するなどにおいては、その役割をしっかり果たしていきたい」と述べ、法案提出自体で一つの区切りを迎えたという認識を示した。

この発言の違いをより深く理解するには、両党の連立合意文書にある「1割を目標に衆議院議員定数を削減するため令和7年臨時国会において法案を提出し成立を目指す」という文言の解釈が重要となる。

維新は「成立までが仕事」だとして、法案成立をゴールとしているのに対し、自民党は「提出で一区切り」、つまりすでに合意の目標を達成したとの見方を示唆しているのだ。

自民が後ろ向きな定数削減法案に「自動削除」の要項が盛り込まれた裏には、赤坂議員宿舎で深夜まで及ぶ両党の幹部会合があった。

維新からは遠藤敬・総理補佐官、藤田文武・共同代表、阿部圭史・衆院議員が、そして自民からは萩生田光一・幹事長代行、木原稔・官房長官、尾﨑正直・官房副長官が参加し、維新側は法案に「自動削除」要項を盛り込むことを要求した。

会合の中で遠藤氏は「企業・団体献金で維新は変節したと相当言われている。それに加えて自民が定数削減まで飲めないなら相当キツイ。吉村・藤田が立っていられない」と訴えた。これに自民の萩生田氏が「それだったら仕方がない」と折れた形だ。この会合で方向性が決まった。