主役はあくまで「馬」 口取り式でも“泣かない”理由
調教師だけでなく、「“1頭の馬”に関わる人間はたくさんいます。そしてそれだけ、いろんな人間模様があるんです」と大竹さんが語るように、多くの関係者が力を合わせて勝利を目指す競馬の世界。
「馬主さんをトップにして、我々厩舎スタッフもそうですし、牧場でも、生産牧場から育成牧場まであって、トレセンの周りには外厩(競走馬の民間育成・調整施設)もあるように、すごく多くの人たちが関わっているんです。その中でも、調教師は最終的にジョッキーにバトンをつなぐ最前線に居ながら、あくまでも馬が主役なので、馬本位で考える仕事ですね」
大竹さんが、馬の勝利を見届けても“泣かない”のは、この「馬本位」に徹しているからだ。
「代理人という立場を考えると、目立って泣くのは違うかな」と自身の立ち位置を冷静に見つめつつ、「レースが終わりゴール板を過ぎた後も、調教師はやっぱり馬を見ているんですよね。帰ってきた時に足元に怪我がないかとか、そういうところまでチェックしています。なので、嬉しくても僕はなかなか涙を流して、という感じにはなれないんですよね。不思議と冷静です」と、プロとしての意識が勝るという。
ところが、『ザ・ロイヤルファミリー』を見ていると、つい涙腺が緩む。「そこはやはり、『泣かすのがうまいな』と毎回思いますよね(笑)。ただ、僕らが皆さんをグッと来させるためには、やはり“いかに良いレースをさせるか”ということなので」と、調教師としての使命も語る。














