「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家男性の死亡をめぐり、一審で無罪となった元妻の二審が始まりました。

 (裁判長)「名前は?」
 (須藤被告)「須藤早貴です」
 (裁判長)「職業は?」
 (須藤被告)「無職です」

 無罪判決から約1年。須藤早貴被告が大阪高裁に姿を見せました。

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん(当時77)は、2018年5月に和歌山県田辺市の自宅で急性覚醒剤中毒により死亡。

 元妻の須藤被告は、野崎さんの死をめぐり、野崎さんに致死量の覚醒剤を何らかの方法で口から摂取させて殺害した罪で起訴されました。

 裁判の争点は、「須藤被告が犯人かどうか」。野崎さん殺害に関する直接的な証拠がないなか、検察側は間接証拠を積み上げて無期懲役を求刑。一方、須藤被告側は無罪を主張しました。

 去年12月の判決で1審の和歌山地裁は「野崎さんが誤って致死量の覚醒剤を摂取した可能性を否定できない」として、須藤被告に無罪を言い渡しました。

 この判決に対して検察側が控訴し、迎えた12月8日の控訴審・初公判。須藤被告は黒い髪に黒いスーツ、メガネをかけていました。

 検察側は「間接証拠を掛け合わせて評価すべきなのに個別的・分断的に評価した」として1審判決の破棄を求めました。

 一方、弁護側は「この程度の証拠で有罪にすることがあってはならないという1審のメッセージをないがしろにしてはいけない」として控訴の棄却を求めました。

 控訴審は即日結審し、判決は来年3月23日に言い渡されます。