“0歳NISA”で格差が拡がる?
藤森祥平キャスター:
厳しい物価高の負担が続く中、来年度の税のあり方やその制度がどう変わっていくのかが非常に注目されています。高市政権になって、減税カラーが非常に伝わってくる内容になっています。
▼「年収の壁」引き上げ
▼ガソリン・軽油 暫定税率廃止
▼NISA対象拡大
▼住宅ローン減税
▼自動車購入時の税 見直し

例えば「NISA対象拡大」について見ていきます。「NISAつみたて投資枠」は年間120万円まで投資が可能で、最大で1800万円まで非課税で利用ができ、18歳までという年齢制限がありました。
しかしそれを撤廃して、0歳から利用できる案も今浮上しています。

仮に、0歳から18歳まで毎月「5万円」を積み立てると、18歳時点で投資額は1080万円です。仮に利回りが年4%だとすると、運用益が487万円ほどで、資産は1567万円になっていくと。
小川彩佳キャスター:
大学進学などのニーズに合わせて資産運用ができるようになる。高市総理も強い関心を寄せているようです。高市政権の「減税カラー」が前面に出てきていますね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
これはもう完全に富裕層の優遇であって、普通の人たちは毎月5万も10万も投資する余裕がないのに、余裕がある人たちの子供が、こういう投資を通じてますます豊かになっていく。大学に入る段階で2000万円を持っている人と、0円の人が出てきてしまうと、それはよくないと思います。
これをやるんだったら、今年は65万人しか産まれていないので、全員に1000万円を銀行口座に入れて、それで継続的に投資をして、その後20歳になったら自由に使えるぐらいのことを、富裕層にさらに課税をしてやったりすればいいと思いますね。
21兆円の対策で財政出動しますが、NISA対象拡大以外も、ガソリン減税や住宅ローン減税など、ほとんどが減税ばかりです。結局、バラマキや小手先のインフレ対策にしかならないと思います。
本来は日本で何を作るのか。供給力不足の話なので、需要喚起のための減税では対応できないところ。日本社会でこれから何を作っていくかというもっと大きなビジョンも、高市さんに出してもらいたいと思っています。
藤森キャスター:
年末に向けて特に財源の規模が大きくなる「年収の壁の引き上げ」が、また一つ大きく注目される点になりそうです。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書『人新世の「資本論」』














