大病を患うことがなかった家族 大きな病気をすれば即、命の危機に…
曽我さんは24年間無事に生き延びてこれたことについて自分自身を褒めたいくらいだという。
家族全員が無事に生きてこれた一番の要因は、何と言っても大きな病気を誰もしなかったことではないだろうか。
医療技術というより医療施設、医療設備がお粗末だった。
日本のように健康診断という制度があるならまだしも、症状が出てから病院に行っても、詳しい診察をしてくれるわけでもなく、またそれだけの設備が整った病院が近くにない。
高度医療を施してくれる病院などに一般の人たちが行けるわけもなく、病院という名の近くの診療所レベルで診察を受けるしかない。
命に関わる病気になっても助けることもできないのだ。
曽我さんと同じアパートに住んでいた人もそうだった。
初期症状は熱もないのに咳が止まらないことから病院に行ったのだが、診断は風邪だった。
処方された薬を飲んでも症状は改善されなかった。
何度か病院に診察に行ったが、一向に変化のない診断が下されたままだった。
日に日に衰弱していき、ついに高熱を出し、入院することになった。しかし、その時にはもう末期の肺がんで手の施しようがなかった。
曽我ひとみさん
「思えば彼女も騙されて拉致され、自分の人生をねじ曲げられた1人です。夢見た未来があり、やりたいことがあったはずです。平均的な寿命から見てもまだまだ生きられたはずなのです。なんて理不尽な人生なのだろうかと悔しくてたまりません」














