親が来られない運動会 娘たちが北朝鮮の友人家族から受けた善意
娘たちが経験したエピソードがある。
ある年の運動会、応援に来た両親や親族がたくさんいたが、娘たちには誰も来てくれる人がいなかった。
夫も曽我さんも隔離された状態で、住居地以外への外出が制限されていたからだ。
お昼の時間になり、友達は皆、家族の元へ行ってしまった。
娘たちがどこで食べようかと周りの様子を伺っていると、何組かの家族が固まって食事をしようとしている場所があった。
友達の家族と親族のようだった。
その子のお母さんと思われる人が手招きをし、「一緒に食べよう」と誘ってくれた。
曽我ひとみさん
「そればかりではありません。娘たちに家族のために作ったご馳走を分けてくれたのです。決して裕福な家庭というわけではありません。配給も満足できるほどの量をもらえるわけではないのです。このように食料事情も良くない状況なのに、娘たちに『遠慮せず食べなさい』と言ってくれたというのです」
この話を聞いて曽我さんはとても感動した。
組織とは無関係な人はごくごく当たり前の普通の人なのだということを改めて確認する出来事だった。














