人身売買された少女の人生 売春宿に売ったのは父親
かつて、この団体の支援を受けていた、ネパール出身のチャンヌーさんもその一人だ。

長谷川さんは、約30年前からチャンヌーさんに深く関わり続けてきた。
12歳でインドの売春宿に連れていかれ、5年間、過酷な労働を強いられてきた。救出されたとき、HIVに感染していた。

チャンヌーさん(当時27歳)
「いつまで生きられるかも分かりません。余命がどれぐらいか分からないので、将来のことは答えられません」
HIVと闘いながら、病気がちの父親に代わって家計を支えていた。普通の生活を取り戻し始めたかにも見えた矢先、長谷川さんの元に一報が届いた。

長谷川さん
「ある日、彼女が捕まってしまった。女の子を連れて、国境を渡ろうとしたところを警察に捕まって。つまり、今度は自分が人身売買犯罪に加担する側になった」
「『もう何てことしたの?』って。全然泣かない子だったのに、その時、ものすごく泣くんですよね。『ごめんなさい、ごめんなさい』って言って。抱きしめたら、すごく小さくなっていて。不健康な様子に見えたから、ちゃんとご飯食べて、元気になってね。また会おうね。そんな感じのお別れだったんですよね」
しかしその後、チャンヌーさんは失踪。数年前に亡くなったことが分かった。

さらに、チャンヌーさんを売春宿に売ったのは父親だったと、NGOの職員から聞かされたという。
長谷川さん
「本当に家族のために尽くしてたんですけど、その子が親に売られたとしたら、どれほど傷ついただろうと思うので。最後は、本当に破滅的な、自分の未来を自分で壊してしまうという最後だった。その大元にあるのは“頑張ったところで何になるのか”“一度壊された私の人生は取り戻すことができない”、というのがベースにあったのではないか。足りなかったと思うんです、ケアが」














