“人身売買ルート”で年間約7000人がネパールからインドへ

警察官
「おい、出てこい」

カギを壊し、関係者が潜伏しているアジトに突入する。すると、出てきたのは15歳と16歳の少女。

警察官「誰に連れてこられたの?」
少女(16)「ファティマという女性です」
警察官「君は?」
少女(15)「私は彼女の妹です」

行方不明になっていた少女も無事発見され、この日、合わせて24人の少女が救出された。

インドに売られる少女たちの多くは、隣国・ネパールからやって来る。首都・カトマンズから、車で4時間。長谷川さんがやって来たのは、山間の国境地帯だ。

長谷川さん
「この周辺には、ネパールからインドへ越境人身売買される被害者として最も多い民族の、タマン族の集落がたくさんあるんです。ここで、山から騙して連れ去って来た女の子たちをバスに乗せて、一気にインドの国境まで連れていく」
「私たちは“人身売買ルート”と呼んでいる」

年間約7000人がネパールからインドに売られてくる。その多くが未成年だ。

インド社会に深く根付くカースト制度では、色白の肌が“高位”とされていた。そのため、肌の色が薄いネパールの少女たちが好まれるという。

被害者の保護に取り組む地元のNGOは、複雑な問題が背景にあると指摘する。

NGO「マイティ・ネパール」アヌラダ・コイララ代表
「一つは教育の欠如。さらに、ジェンダー格差の問題もあります。この国では、女性が結婚する場合、多くの持参金が必要です。ブローカーは“いい仕事がある”“2、3年も働けば、結婚するのに十分なお金を稼ぐことができる”などと、女の子や親を騙すのです」

団体に保護され、社会復帰を果たす女性たちがいる一方、再び転落してしまう人もいる。