福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今回は喜多方市で15年ぶりに再オープンした酒店を紹介します。明治時代の建物がなんともレトロ感たっぷりの雰囲気で、店主の女性の思いが詰まったお店となっています。

太い梁が歴史を感じる、なんともレトロな雰囲気が懐かしく、オシャレなこちらは明治時代に建てられたもの。

喜多方市で今年7月に15年ぶりに再オープンした「五十嵐太右ヱ門」です。世襲制の四代目の名前が、そのままお店の名前になっています。

四代目の娘、五十嵐詩織さんが店主となり、日本酒やクラフトビールなど販売するお店として再スタートしました。

--五十嵐詩織さん(五十嵐太右ヱ門 店主)「ここの通り自体が昔は商店街で栄えていたんですけど、(今では)ほとんどのお店が閉まっていて、さらにその閉まっていたものが誰も住んでいないという理由で解体されるというのが著しくて、ちょっとでもこの辺りの活力になれればと思って。」

もともとは、明治時代から商家としてお店を営んできました。

--五十嵐さん「昔は海産物問屋として電話帳にも載っていたようです。戦後からは小麦粉だったり、塩だったり、砂糖だったりという商売をはじめて、その後に、酒屋、卸会社をやっていたので、それに合わせて酒屋と。」

しかし、長年営んできたお店も、祖父が体長を崩したことがキッカケで15年ほど前に閉店。お店だった部分は、いつの間にか物置になっていたそうです。

--五十嵐さん「再オープンすることによって、いろいろな方がこの場所の空気感を感じていただいて、どこか懐かしい。今の若い方からしたら“ちょっとオシャレ”みたいな、観光客も寄っていただける、地元の方もここにきて温かみを感じていただいたり、その言葉にぴったりなのが”縁側”かなと、地域の縁側になりたいと思って。」

酒どころ・喜多方の日本酒はもちろん、ワインやクラフトビールなど五十嵐さんセレクトのお酒が並びます。

--五十嵐さん「見た目のパッケージングがオシャレだったり、単価は高いんですけど特別な時間に寄り添う商品を提供したいというのがあるので。福島県内のものもありますし、愛媛県・広島県・高知県・大阪府の商品を今は仕入れています。」

そして、お酒と共に販売しているのがこちらもレトロな酒器やガラス製品などです。

--五十嵐さん「蔵に眠っていたものを販売しています」。

蔵を整理した際に、戦前に作られた貴重な焼き物や昭和レトロな食器類などが出てきたそうです。

--五十嵐さん「わくわくしてたまらなかったですね。キレイな状態でかけることなく残っていることにびっくりしました。」

今でも十分に使えるグラスなど、五十嵐さんもお気に入りのものばかりです。

--五十嵐さん「こちらはアサビビアと書かれた『ABグラス』と呼ばれるものですね。今から50~60年前のものでお酒の卸会社をやっていて、アサヒビールの特約店だったんですね。今の時代にも合うようなかわいらしいデザインなので、人気ですし私もお気に入りです。」

年代もその価値もわからないものがまだまだあるそうで、眠っていた古き良きものを、いまに繋いでいます。

--五十嵐さん「“地域の縁側”という部分は大事にしていきたいところなので、より多くの方に、商品はもちろんなんですけど、ここの建物、ここの空気感を次に繋ぐということを大事にしていきたいなと思います。」

『ステップ』 
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年11月27日放送回より)