FC琉球 倉貫一毅新監督
「一言で言えば悔しいことが多いシーズンだった。その一言に尽きる。サポーターの皆さんやスポンサーの皆さんには良い思いを届けられなかったのは自分たちの中でも悔しいし、申し訳ない」
最終節を残し、J3降格圏が決まった今季のFC琉球。42試合の結果は8勝13分21敗で全体21位と、最後の最後まで苦しみました。
シーズン前半は喜名哲裕監督が指揮を執るも成績不振で解任。後半はナチョ・フェルナンデス監督が就任し立て直しを図りましたが実らず。

再起をかけ、来シーズン監督を務めるのが、倉貫一毅さんです。滋賀県出身の倉貫さんはキャリア通算508試合出場と選手として高い経験値を誇り、甲府、徳島時代には主将を務めるなどキャプテンシー溢れる性格でチームを牽引してきました。引退後は徳島でコーチを務め、今季はヘッドコーチとして琉球に加入。喜名体制、ナチョ体制と、2人の指揮官のもとで琉球を見てきました。
FC琉球 倉貫一毅新監督
「一つの要素としては前半戦と後半戦のサッカーが大きく変わっていったのが間違いなくある。これが駄目とかではなく、やり方の問題だと思うので、ただそこは色んな迷いを産んだのかなと結果としては思う」

サッカーが大きく変わったとはどういうことか-
例えば攻撃に重きを置いたシーズン前半戦。ゴールキーパーも関わりながらボールを繋ぎ、敵のプレッシャーを回避して相手陣内までボールを運び、最後は見事なヘディングでゴール。多い時には10人がボールに触れていました。
一方、より守備の強度を重視したシーズン後半のナチョ体制では、激しいプレッシャーでボール奪い、一気にカウンターへ。直前まで守備をしていた琉球が、素早い切り替えで攻撃に転じ相手の一瞬の隙を突きました。
「攻撃」をフィーチャーした喜名元監督と、「守備」をフィーチャーしたナチョ前監督。倉貫新監督は、2人の意志をどのように調和させていくのでしょうか。
FC琉球 倉貫一毅新監督
「基本的にはやはり魅力的にまた見に来たいと思うチームにしたい。一つの基準として考えるのは『選手も楽しいと思っているか』ということが重要だと思っていて、サッカーを小さい頃に始めた時に、どの選手に聞いてもおそらく多くの選手が『なんでサッカー始めたの?』と聞いたら『楽しいから』と答える。ボールを蹴るのが楽しいと、ボールを触ることが楽しくてサッカーを始めたわけだから」
「選手が楽しそうにやっていれば見ている方も『楽しい』と感じる可能性が高い。だからそういう考えは大事にしたい」
『選手が楽しむ』ことを一つのスローガンとして掲げる一方、その上で確実に結果も求めると話す倉貫監督。結果に必要なのはゴールですが、今季琉球が積み上げたゴール数は41得点と、J2リーグ全体でも5番目の少なさです。

再起の糸口をどう掴んでいくのか、倉貫監督の今季印象に残ったゴールを聞くと、目指す形が見えてきました。
FC琉球 倉貫一毅新監督
「アウェイの熊本戦の1点目とか、次の栃木に1-0で勝った1点目とか。ペナルティエリアの深い位置まで入って行って、サイドからという、上手くサイドを崩してペナルティエリアの深いところまで入って、そこから低いボールで仕留める。そういった得点のシーンでは上手く選手が連動しながらやれたと思う。これだけたくさんあるサッカーの考え方の中で、俺が言っているのはこれくらいだと。他はもう選手が描いてくれる」
新生、倉貫体制のFC琉球。5年ぶりに戦いの場はJ3へと移りますが、やることは変わりません。
FC琉球 倉貫一毅新監督
「優勝して昇格することだけ。それ以外はない。プロの監督は初めてなわけで、色んな心配をしている人たちもいるかもしれないけど、みんな初めてなわけで最初はね。自分が最初から全て何かを育てていくというよりも、一緒に成長していければ良いなという」
Q一緒にトライ・アンド・エラーをしていくという心意気?
「エラーはしたくないですけどね。トライのみで終わりたい。」
1年でJ2返り咲きへ。選手もサポーターも楽しいサッカーでJ3攻略を目指します。