“赤ちゃんポスト”の設置に向けて、大阪の泉佐野市が熊本の病院を視察です。

 泉佐野市の職員らが視察に訪れたのは、18年前に全国で初めて“赤ちゃんポスト”を設置した熊本市の慈恵病院です。

 (泉佐野市 千代松大耕市長(ことし5月))「生まれてきた大切な命を守る最後の砦が赤ちゃんポストかなと考えておりますので、しっかりと実現できるように、取り組みを進めていきたい」

 泉佐野市は、さまざまな事情で親が育てることができない赤ちゃんを匿名で受け入れる“赤ちゃんポスト”を、市内の「りんくう総合医療センター」に設置することを目指しています。

 設置に向けた第一歩となる慈恵病院への視察を翌日に控えた11月25日、千代松市長は、病院の経験やスキルを学んできてほしいと、職員への期待を述べていました。

 (泉佐野市 千代松大耕市長)「慈恵病院の理事長と意見交換する中で、りんくう総合医療センターならどういう形で実施できるか、先進事例を学んでいただきたい」

 そして26日、泉佐野市や「りんくう総合医療センター」の職員など19人が慈恵病院を訪問。赤ちゃんが預けられたあとの流れなどについて、看護師や医師から説明を受け、理解を深めました。

 視察を終えた泉佐野市の職員は…。

 (泉佐野市職員)「率直な意見として、思っていた以上の規模、大きさだと実感しました。長年取り組んでこられたお話を伺って、非常に重いものを感じました」

 泉佐野市は“赤ちゃんポスト”の設置に向けた調査費800万円に、さらに300万円を追加する補正予算を12月の議会に提出する予定で、早ければ来年度をめどに運用を開始したい考えです。設置が実現すれば、全国で3例目となります。

 泉佐野市が行政主導で設置を進めていることについて、視察を受け入れた慈恵病院の院長は「課題も多い」と指摘しました。

 (慈恵病院 蓮田健理事長)「18年前、慈恵病院が“赤ちゃんポスト”を始めた時は、病院が主体。国も熊本市も決してウェルカムではなかった。ぜひ、泉佐野市に突破口となって実績を作ってほしいが、逆に行政主導って相当難しい。一番は匿名性の保障です。今の公的サービスというのは、名前とか住所とか身元を明かさないと、匿名でサービスを受け入れられない」

 泉佐野市では、病院以外に身元を明かさない「内密出産」も受け入れる方針を固めています。今後、行政主導でどのように運営していくのか、注目されています。