「Human Made」の成功の秘密
「Human Made」の創業者NIGO(ニゴー)は、1990年代の東京・原宿の「裏原ブーム」を牽引したカリスマデザイナーです。彼が以前手掛けた「A BATHING APE(BAPE)」は、映画『猿の惑星』に触発されたブランドで、世界的に知られています。
「Human Made」が採用している販売手法「ドロップカルチャー」は、特定の日時にのみ商品を発売し、即完売を狙うスタイルです。毎週木曜日の11時に商品情報を出し、土曜日の発売日にファンが購入するという流れで、常に売り切れる数量を販売してファンの熱量を維持しています。
しかし「Human Made」の革新性は単なる販売手法にとどまりません。ブランドのものづくりのコンセプト「The Future Is In The Past(未来は過去にある)」は、過去のファッション界にあるビンテージのアーカイブからインスピレーションを得て、商品づくりに活かすというものです。
例えば、「デニムカバーオールジャケット」は左胸のポケットがペーパーラベルになっており、洗濯するごとに変化して、すべて剥がれるとハート型のステッチが現れる仕組みになっています。また、デニム愛好家から絶大な支持を集めるセルヴィッチデニムを使用し、旧式の織り機で織り上げられた素材を使うなど、クラフトマンシップにこだわっています。
この「温故知新」のデザイン性は、SNS上でファンが語りたくなる要素となっています。「Human Made」の公式インスタグラムでは商品の写真とごくわずかな説明しか提供していませんが、ファンが自発的に商品の背景や文脈を語り合い、情報を拡散しています。














