柿の種を飛ばしてハワイへ!
鳥取県南部町の特産、「富有柿」の種を吹き飛ばして飛距離を競う大会が先週末行われました。
ユニークな大会でかつて全国から注目を集めた富有柿の里は今、ピンチに直面しています。

毎年11月23日に開かれる「全国柿の種吹きとばし大会」。
優勝賞品のハワイ旅行を目指し、町内外から多くの人が参加しました。

岡山から
「練習、前日から始めました。ふって感じの口を細くして息をためて一点集中で、という」

ルールはいたってシンプル、富有柿を味わったあと、その種を吹き飛ばして距離を競うだけです。

母親「おいしい?」
男の子「甘い」

富有柿は甘柿の王様と呼ばれるほど糖度が高く、硬めのシャリっとした食感も熟して柔らかくなった食感も時期に合わせて長く楽しめるのが特徴です。

中嶋理沙 記者
「甘くてみずみずしいです。秋はやっぱり柿ですね」

南部町は県内有数の産地として知られています。

JA鳥取西部 米子・あいみ果実部 橋谷陽史 柿指導部長
「気象災害がいろいろなものがあって、本当に大丈夫かなと心配してが、なんとか安定して出荷までこぎつけられましたので安心しています」

しかし、今大きな壁に直面していました。

半世紀近く富有柿をつくっている赤井富雄さん。

JA鳥取西部 米子・あいみ果実部 赤井富雄 副部長
「会見の柿はおいしい、おいしいといっていただけるのはすごくありがたいです。ただ、いつまでも富有柿ばかりつくっているわけじゃないので、私もそうですけど新しい輝太郎柿だったりいろいろな柿にまた挑戦をしたりしているわけなんで」

赤井さんは80アールの農地で富有柿をつくっていましたが、輝太郎や西条柿、ナシなどに転換し、いまは20アールに減らしました。
というのも、富有柿は全国的にも生産量が多いため単価が上がりにくいうえ、11月から寒い時期まで収穫が続き霜や雪のリスクがあります。

一方の輝太郎は、鳥取県のブランド柿として売り出し中のため、市場単価が高くなりやすく9月から10月にかけて
出荷できるため、価格競争に巻き込まれず、高く売れるのです。

とはいっても、「桃栗3年、柿8年」。
高齢化する農家が植え替える体力は残っていないといいます。

南部町 産業課 益田良介 課長補佐
「高齢化や農業全般の後継者問題、そういったところから生産者が減少していて、これに伴い生産量も減っていっているという状況」

赤井さんによると、南部町の富有柿は20年前に比べて4分の1ほどになったとのこと。後継者不足も深刻な課題です。

この状況を受け、行政も柿の栽培体験会を行っています。

南部町 産業課 益田良介 課長補佐
「農家と関係性をつくっていただいたり既存の果樹園で活動に入っていただくといったところを期待しています」

かつては優勝賞品のハワイ旅行で全国から注目を集めた柿の種吹きとばし大会も33回目を数えます。

メンズ部門優勝者
「大変うれしいです。家族で旅行に行こうと思います」

ジュニア部門優勝者
Q柿のお味はいかがでしたか
「南部町のものはとてもおいしいですね。給食でも出ているし、やっぱり一番です南部町産が」

JA鳥取西部 米子・あいみ果実部 赤井富雄 副部長
「直売所なんかでもやっぱりあいみと書いてある生産者の名前のところの柿を探して求めていらっしゃる方もいますのでそこは大事に、あいみの名前が地に落ちないようにしていきたいなとは思います」

変わらない味を次世代に残したい。
だけど生きるためには変わらないといけない。「富有の里」は今、変化を迫られています。