日本は罰則が甘い?国会でも進む「買春に罰則」議論

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
これは日本だけの問題ではなく、今、グローバルでも非常に注目を浴びている事件の類です。

国連のレポートにも書いてありましたが、2~3年前のデータでは、氷山の一角だと思いますが、確認されているだけで約7万4000人がこのようなことを強いられているとのことです。

今、世界で動いているのが大きく分けて2つあります。1つは、ほとんどの場合が少女なので、少女の支援と保護です。保護されたらその後どうしていくのかという話です。

もう1つは、いわゆる罰則です。母親あるいは客に対する罰則も、今どんどん世界で重くなり始めています。日本の罰則は甘い方です。

日本では未成年の場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

海外では年齢によっても異なりますが、今回の12歳の少女のケースでは、アメリカでは最低でも15年の懲役。イギリスでは13歳未満の場合は終身刑にあたるくらいなので、海外のこの問題に対する重みがあるということがわかります。

高柳キャスター:
国内でも買い手側に対して罰則というものが今検討されている状況ですが、そこはスムーズに成立となるのでしょうか。

竹本真菜 記者:
今は国会でも議論が進められている最中ですが、「買春に罰則」という議論には課題も残っています。

その1つとなっているのが、罰則が導入された結果、性売買の現場がより地下に潜り、かえって危険な状況に追い込まれてしまうのではないかという指摘です。

この問題は本当にいろいろな背景があり難しい問題なのですが、今後議論を深めていく必要があると思っています。

井上貴博キャスター:
売春と買春のニュースをお伝えしている中で、ずっと納得がいかないのが、今の日本の法律だと、売る側は規制することができる。お店側を取り締まることができる一方で、買う側、利用する側を規制することがなかなかできません。

しかし、ビジネスモデルを考えると、買う人がいなければ成り立ちません。ならば、買う人を絶対的に取り締まるべきだと思います。海外では、買う側を取り締まる法律があるところもありますが、日本はなかなかそうはいきません。

日本は性に対する考えがものすごく遅れているといわれますが、法律も意識も変えないと、と毎回思います。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
どんどん数字が上がっているだけに、もう待ったなしの状況だと思います。国会で議論されているとはいえ、アクションがないといけないので、アクションに結びつくことを期待したいですよね。

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〈プロフィール〉
竹本真菜
TBS報道局 社会部 警視庁担当
歌舞伎町や薬物問題をテーマに取材

ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など