日本古来のたたら製鉄で日本刀の原料である「玉鋼」を、世界で唯一生産している島根県奥出雲町の「日刀保たたら」。

新たに就任したたたら操業の最高責任者「村下(むらげ)」が、初めての操業で生産した玉鋼を、島根県知事に贈りました。

このほど島根県の丸山達也知事を訪ねたのは、去年7月に村下に就任した日刀保たたらの堀尾薫さんです。

40年近くにわたって村下を務め、去年亡くなった先代・木原明さんのあとを継ぎ、今年1月から2月、新村下として初めてのたたら操業に臨みました。

操業初日の「火入れ式」には、丸山知事も出席し、最初の砂鉄を炉に入れる「初種」を体験しています。

その時の操業で作られた玉鋼を受け取った知事は「玉鋼は島根の宝」と述べ、たたらの伝統文化に敬意を表しました。

初操業を振りかえって、堀尾村下は。

日刀保たたら 堀尾薫 村下
「師匠(故・木原前村下)に教わった技能技術をいかんなく発揮すれば、必ず安定した操業ができて玉鋼を生み出せるんだと念じながら操業を進めていきました。最後、鉧(けら:玉鋼を含む塊)が誕生した時『師匠、やりましたよ!』と心の中で報告させていただきました。立派な玉鋼を生み出し令和の玉鋼を全国の刀匠に供給をしていくということで臨んで参りたい」

たたら製鉄は、戦後に途絶えるも、日本美術刀剣保存協会により奥出雲で昭和52年(1977年)に復活。
現在も世界で唯一、玉鋼が生産され続けています。