異例のスピードで拡大するインフルエンザ。11月中に東京で流行警報が出るのは16年ぶりです。
インフルエンザに関する様々な疑問に医師が回答。
さらに、“痛くない”ワクチンや検査についても解説します。

インフルエンザ「いつまで」休む?

◆外出自粛は「発症日」から5日間、かつ熱が下がって2日後(乳幼児は3日後)です。

例えば小・中学生の場合、発熱など症状が出た日を起点(0日)として数え、その後5日間は出席停止となります。(学校保健安全法に基づく出席停止期間)
これが最低限の日数で、例えば発症日から5日目に解熱した場合、解熱した日を0日としてその後2日間休むこととなります。
解熱日が遅ければ出席停止の日数は伸びます。

恵俊彰:
熱がいつ下がるかがポイントですよね。熱が下がった後に、熱が下がった日を入れずに2日間。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
社会人の場合、今は働き方もいろいろあるので、リモートや完全に個室で働く場合に、働くことそのものを規制するものではないと思うんですよね。人と交流するとか、お客さんと接するとかでなければ。大人の場合にはちょっと柔軟な働き方の対応が可能かなとは思います。

インフルエンザは「いつ」うつりやすい?

◆潜伏期間は1日~4日
◆発症後、特に3日~4日が最も感染力が強い

恵俊彰:
例えば、熱が下がったとしても咳が残っていますみたいなパターンの場合は、人にうつす可能性があるんですか?

伊藤博道院長:
あると思います。ただやっぱりコロナもそうですけど、どこかで切らないといけないので、日数の目安が決まっています。
熱が下がっても人にうつす力はゼロではないです。ただずっと必ずマスクをするなど管理をしたとしても完全に防げるわけではないので、標準的な感染予防策を複数講じていくということになると思います。

インフルエンザにかかった後でも予防接種は受けるべき?

◆他の型への予防効果があるので受けた方がいい

伊藤博道院長:
今流行っているのは香港A型のH3N2なんですけど、去年はPDM09型H1型でした。
このようにA型の中にも2種類あるいはそれ以上の型がありますし、さらにB型もありますので、ワクチンを打つことで複数回の感染を防ぐことができます。
今年は特に早いタイミングでの流行ですから、まだまだ冬が来ることを考えると2回目、3回目の感染の可能性もあります。

“痛くない”鼻からワクチン接種「フルミスト」

鼻から摂取するインフルエンザワクチン「フルミスト」が注目されています。
弱毒化したインフルエンザウイルスを直接鼻に噴霧し、鼻から喉の粘膜で免疫を獲得します。疑似感染が起こり、体の中で抗体を作ることができます。
1歳以下の乳児や重篤な喘息の子どもは接種できません。

伊藤院長によると、従来のワクチンは効果の持続期間が約5か月なのに対し、フルミストは6か月~1年効果が持続すると言われているそうです。

伊藤博道院長:
あくまで添付文書や、それぞれの薬の臨床試験の結果なので、フルミストの方が長く効くんだとあまり強く思い込んではいけないです。ただやはり生ワクチンであるということと、それにより結局1回で済む。これからデータをどんどん集積して評価をしていくところだと思います。

コメンテーター 白井智子:
子どもは注射というだけで嫌がるので、痛くないとだいぶハードルが下がりますよね。

カメラで喉を撮影 “痛くない”インフルエンザ検査

鼻の奥に綿棒をグリグリと差し込む抗原検査が一般的ですが、喉を撮影するだけの“痛くない”インフルエンザ検査も登場しています。

インフルエンザにかかると、インフルエンザ濾胞(ろほう)という2mm程の気泡のようなものが喉にできます。
口の中に棒状のカメラを入れて撮影した「喉の画像」と「問診情報」から、インフルエンザかどうかAIが判定します。
従来の検査は結果まで15分ほどかかりますが、このAI検査では数秒〜十数秒で結果が出るのもメリットです。
2022年12月から保険適用が開始されており、一般的な検査と同じ金額で受けられます。

伊藤院長のクリニックでは、ごく最近になってこの検査機器を導入したそうです。
導入の理由として、
▼症状が出て12時間以内にも検査ができる
▼フルミストでワクチン接種している人は、鼻の奥に綿棒を入れる抗原検査だと陽性になってしまう
ことを挙げています。

恵俊彰:
精度は良いんですか?

伊藤博道院長:
感度が75%で、特異度が80%です。しかもやればやるほど精度が上がっていきます。
昨日も診察でこの検査をやりましょうかと言ったら、患者さんの反応も良かったです。

(ひるおび 2025年11月14日放送より)