連日、クマによる被害のニュースが続いています。九州にはクマは生息していないとされていますが、もし熊本にクマが現れたら、大ニュースになること間違いありません。映像は昭和57年(1982年)12月、本当に「クマが現れた」という情報が寄せられた際のものです。当時のニュースはこう伝えています。

「上益城郡矢部町(現 山都町)で、去る9月末、ツキノワグマを見かけたという人が現れたため、今日、県の自然保護課は地元猟友会の協力を得てクマの生息調査を行いました。

この調査は、噂になっている熊が実際にいるのかどうか確認するためのもので、阿蘇外輪山を北と南から挟む形で矢部町側から25人、久木野村(現 南阿蘇村)側から20人が参加、それぞれ班に分かれて午前8時過ぎ、開始されました。

調査内容は、足跡やフン、熊が木に登る習性から折れた木の後、巣の様に固まったところはないかなどについて行われましたが、猪や猿は現れたものの、肝心の熊に関する調査結果は全くなく、結局、熊は「いないのでは」という結論となりました。

ところで、地元には、熊騒動以来、 人気者となった犬がいます。シェパードの雑種で7歳になるコゾー君です。

コゾー君は、去年まで近所の人が猪狩りに行くとき、飼い主が山に連れて行っていたため、自分でもよく山歩きをしますが、熊騒動以来、山の中を歩いているコゾー君の姿に「熊だ」と大騒ぎする人が絶えないということです。コゾー君にとっては迷惑な話ですが、今日も飼い主と共に目撃現場を訪れ、熊の恰好をさせられていました。
今日の調査は、1回山の中を歩いただけのもので完璧なものとは言えませんが、結果では、熊がいるというだけの証拠が全くないだけに、もしかしたらこのコゾー君が熊に間違えられたのかもしれません」

九州でクマが絶滅したと考えられているのは1957年、環境省が絶滅を宣言したのは2012年。当時はまだ「もしかしたら」ということも考えられた時代で、真剣な調査が行われました。