“エサがない” 人間が奪ったクマの住める山

クマが生息しやすい環境を山につくることで、人とのすみ分けを試みる場所がある。

神奈川県西部にある山北町。山北町では4日、クマが走行中の電車とぶつかる事故が起きている。

この町で生まれ育った猟師の杉本一さん(87)。クマが人里に降りるようになった背景をこう語る。

猟師 杉本一さん(87)
「山のどこを歩いても(クマの)食べ物が見つからない。人間がそういう山にしちゃった」

地元の猟師の豊田さんとともに山を見渡してみると…

猟師 豊田里己さん
「黒いモスグリーンのところが全部スギ、ヒノキ。全部です。昔は植えておけば、建材、家を建てるときの材木や柱、そういうのに使えるという夢があって植えたと思うけど、今まであった動物が食べる実のなる木、おそらく実がならない」

猟師 杉本さん
「これじゃあ動物はどこでエサを食べて、住めばいいんだということになっちゃう」

県の自然環境保全センターによると、高度経済成長期にスギやヒノキを植え、人工林を作るためにどんぐりのなる広葉樹を伐採したことでクマのエサが減少。

さらに、人工林によって光の入らないところでは、新たに広葉樹は育ちづらい。温暖化なども重なり、山北町ではここ10年ほど、どんぐりの不作が続いているという。

猟師 豊田さん
「動物がとどまれる環境を作らないと、里山へ出てるクマは(山へ)戻ってこない」