――これまでの作品を通じて、共通するテーマはありますか?
三宅監督:ボクシングであったり、旅であったり、毎回題材は変わりますが、振り返ってみると共通点は、どの映画の登場人物も「もっと幸せに生きるにはどうすればいいんだろう」と、すごく真剣に考えている人たちばかり撮ってきた気がします。
幸せと言っても人それぞれ定義は違うと思いますが、「周囲の人と一緒によりよく生きたい」というか、「楽しい時間を過ごすにはどうすればいいんだろう」と。世の中いろんな問題があって、そう簡単に解決することもないですが、それに何とか対処しながら、どうすればいいんだろうっていうことをすごく真剣に考えている登場人物が多くて、そういう人たちに惹かれて撮ってきました。どの登場人物もすごく尊敬しているというか、すごく好きですね。
――登場人物が真剣であるからこそ、ユーモラスに見える部分もあるのでしょうか?
三宅監督:そうですね。真剣であることがユーモラスというか、笑いが起きたり滑稽に思えたりするのって、愛着が湧くからだと思うんですよ。映画を見ていて「こいつ、つまんないな」って思う人が面白いことしようが、こっちの気持ちってどんどん冷めていく一方だと思うんですけど、「この人チャーミングだな」って思うと、ある種の健気さが見えてきたり、おかしみが見えてきたり、あるいはその人の寂しさが見えてきたり、色々入ってくる。映画を通して自分とは違う人生について考えるのはすごく楽しい。
――2018年公開の『きみの鳥はうたえる』は函館ロケの作品ですね。
三宅監督:函館のシネマアイリスの菅原さんから、函館出身の佐藤泰志さんの小説を一緒に映画化しようという提案から始まりました。青春小説で、しかも函館の夏、つまり決して長くない期間。それがすごく、青春という時間を撮ることとマッチしていると思いました。素晴らしい俳優たちと一緒に函館で過ごして、いつか終わってしまう夏、いつか終わってしまうような若い時の時代を撮れたのは、自分の人生にとってもすごく充実した時間だったなと思います。
――今後、北海道で撮ってみたいテーマはありますか?
三宅監督:住んでいる時は北海道の歴史とか広さっていうのをそんなに意識しなかったですけど、今になって北海道で行ったことないところがたくさんありますし、あとは歴史ですよね。本州の他県ともまた違う歴史を持った土地なので、映画にするかはさておき、自分がもっと知りたい、勉強してみたい思いはたくさんあります。














