落命した息子への思い

息子を戦地へと送り出した母親の胸の内が遺されています。

和壽さんの母・シズさんの手記から「最後にやっと私が言えた言葉は、安心して征っておいで――ただこれだけだった。決意を固めた息子に対し、なぜもっと母親らしい、いや、もっと人間らしい言葉がはなむけできなかったのか、私は自分のおろかさに泣きました」

豊住和史さん「戦争で亡くすということは、自分の子どもを亡くすことはやっぱり悲しいことですけんね」

戦後、母・シズさんは、息子への最後の言葉を長い間、悔やみ続けました。

豊住和史さん「母は、私が死なせた、戦争で死なせたんじゃないかと。悔やんでですね。泣きよったです」

「国のため」と言い残し、特攻で命を落とした兄。その本心はどうだったのか。

今となっては知る術がありません。

豊住和史さん「兄は立派だったと思いますよ。自分を犠牲にして国を守る家族を守るという」

それでも・・・

豊住和史さん「平和が一番ですから。戦争のない方がいい」

戦後80年、戦争の悲惨さと平和への思いは、残された家族に受け継がれています。