受刑者の自由を尊重する、開放処遇の“塀のない刑務所”が愛媛県にある。しかし、4年前に逃走事件が起き、存続の危機に陥った。事件後初めて刑務所の内部にカメラが入った。

■“熱い風呂” “布団の弾力” 塀のない刑務所での生活

​愛媛県今治市。松山市から車で約1時間。瀬戸内海に面したこの街は古くから造船業で発展してきた。

民間の造船所の中にある松山刑務所・大井造船作業場。松山刑務所の受刑者14人が朝8時から夕方5時まで民間の職員と一緒に大型船の建造に携わっている。

松山刑務所・大井造船作業場

青色のヘルメットが受刑者だ。広い造船所の中でも一般の職員とはすぐに見分けが付く。    

大型クレーンが激しく動き、常に危険を伴う作業だ。夏は鉄板の温度が50度を超える事もある。受刑者によると「夏は作業着がびちょびちょになるくらい汗かきます」「汗が垂れると蒸発するのが見えるほど暑い時もあった」という過酷な環境だ。

そんな厳しい作業だけに造船所の職員とのコミュニケーションは不可欠だ。

記者
「受刑者だっていう感じはしますか?」

造船所の職員
「しませんね。普通の職場の仲間という感じ。厳しい目はあると思うけど、僕らここで一緒に働いている人間は応援している」


午後5時に帰寮。彼らは造船所の敷地の中にある“友愛寮”で生活している。金網で囲まれただけの“塀のない刑務所”だ。塀や鉄格子で拘束せず受刑者が出来るだけ自由に行動できる
“開放処遇”の施設だ。刑務官もここでは作業着で勤務する。