福島県浪江町の帰還困難区域、南津島地区に伝わる伝統の田植踊りが、11月、民俗芸能の全国大会で披露されます。地元の保存会と学生が、共に活動するようになって3年。最高峰の舞台に意気込むメンバーたちの思いと、ふるさとの現状を取材しました。
伝統の田植踊り、20年ぶり全国大会へ
8月末、二本松市に南津島郷土芸術保存会の会員や東北学院大学の学生たちが集まりました。浪江町の帰還困難区域、南津島地区に伝わる田植踊り。集落の家々を回り、五穀豊穣や無病息災を祈る伝統芸能です。原発事故の後、一時、存続が危ぶまれていましたが、2022年から学生が保存会の活動に加わり、担い手を増やしながら、継承されてきました。

この日は、年に何度かあるその合同練習です。いつも以上に、練習に力が入るメンバーたち。それには、理由がありました。民俗芸能における最高峰の舞台、「全国民俗芸能大会」への出演が決まったのです。100年前に始まった歴史ある大会で、
11月22日に東京で行われます。
南津島の田植踊りが選ばれるのは、2005年以来20年ぶり。同じ団体が2度選ばれるのは、珍しいといいます。原発事故の後も、保存会が熱心な活動を続けている点や若い人が継承に力を尽くしている点などが評価されたと言います。

20年前の大会にも参加した保存会の会長、三瓶専次郎さん。出演が決まったときの心境を次のように話しました。
三瓶さん「あ、また行けるのかと。ぜひみんなを連れていきたいし、なおさら学生さんたちだっていい経験になるだろうっていうふうなことを思ったしね」

学生と活動を共にするようになって、3年あまりでたどり着いた全国の舞台。当時は、想像もつかなかったと話します。
三瓶さん「行けるなんていうことは全然考えなかった。考えられなかったわな。何とか学生さんに継承していくことだけが大変だった。どうしたら継承できるかということが、当時の思いだったからね」
一方で、着付けなど準備に関わるメンバーを含めると、50人近くが必要となる田植踊り。20年前と比べ、金銭面の負担が大きくなったと話します。
三瓶さん「でもやっぱり、これだけ継続して、後継者を作ろうと思って来たんだから、ぜひ、どんな無理をしてでも、連れて行って踊らせたいっていう考えはありましたね」














