江沢民元国家主席の死去 ひとつの転機に
―――そんな中、重なったのが江沢民元国家主席の死です。追悼を理由に群衆の押さえ込みに成功したとも言われています。
26日~27日にデモが起きました。翌週12月4~5日にどうなるのかっていうのに注目してたわけですが、その間のタイミングで、江沢民氏が亡くなった、そうして追悼式典が行われたんですけども、それまでの1週間は、「みんなうるさくするな、静かにしろ」と言った。中国人のマインドとして、江沢民氏の時代はよかったって思う人が非常に多く、マインドとして騒ぎを起こしたくない、なおかつ騒ぎを起こしては絶対にまかりならんと言って締め付ける言い訳にもなった。習近平さんからすれば、「ある意味いいタイミング」だった。
――7日は全国民に3分間の黙とうを求めたそうですね。
バスも止まって、みんなクラクションを鳴らしているシーンが放送されていました。完全な党と軍と国を挙げての葬儀ということになりましたからその間は、デモも一切何もしない。
―――ゼロコロナ政策の転換で今後どうなるのでしょう。中国の累計死亡者数は、発表だと約5200人ですが、アメリカ並みの死亡率を中国の人口14億人に当てはめてみると、死亡者数は400万人を超える計算になる、とロイター通信は伝えています。
これはあくまで仮定で、オミクロン株は基本的には病毒性が弱く、中国はいろんなメディアを使って「毒性が弱いから、今までとは違うんだ」っていうことを一生懸命喧伝しています。緩めたら死者がここまで伸びるかどうかっていうのは、何とも言えない、やったことないから。ただ400万人とか1日1万人なんていう推計、そこまでは私は行かないんじゃないかなと思います。
―――最近の習氏は「来年は経済を頑張ろう」と話したそうですね。
ゼロコロナを言わない、っていうことだけでみんなが解除してるんです。別に習近平さんが「ゼロコロナはやめたとは一言も言ってないです」。まだ留保してるっていうか、いつかまた広がったら俺はやっぱり正しいんだっていう懸念はあるけれども、世界的な流れから考えて、徐々に骨抜きで緩めていくんじゃないかなというのは楽観的な見通しですね。でも決して言わない。メンツのために今まで何年間も頑張ってやってきたわけですから、それをやめたなんてことはとてもじゃないけど言えない。
緩和とか解除も言わなくて「PCR検査の証明が要らない」しか言わず、緩和とか解除さえも言わない。しかし例えば中国は国内線の飛行機代が先週から3割ぐらい上がったという推計もあり、空港ではどんどん増便しています。そうすると、今度海外への渡航がどうなるか、つまり戻ったときの5日間の隔離ってのはまだ昔と変わってませんから、これがなくならないと往来は増えないですよね。
―――今後の中国はイベントが目白押し。年末から年始にかけて年越し、来年の1月22日は新年の春節です。
そこまでに入国隔離が解ければ日本にワーッと多くの人がやってくる可能性があるわけですよ円安だし。人が大勢集まって移動してのタイミングがあるわけですけども、この時期を迎えてどうなるか。私は専門だから中国から目が離せないです。(2022年12月7日MBSテレビ「よんチャンTV」より)














