万博で戦時下のウクライナの暮らしを伝え続けた展示品は、神戸の大学に引き継がれます。

 大阪・関西万博が閉幕して約2週間。ウクライナが構えていたブースでは、展示品やディスプレイの撤収作業が進められていました。

 2022年2月からロシアによる軍事侵攻が始まったウクライナ。万博では、複数の国などが入る「コモンズC館」の一角にブースを設け、“NOT FOR SALE”「ウクライナの価値は売り渡せない」というテーマのもと、兵士が持っていたリュックや庶民の生活用品を展示。戦禍でのウクライナの人たちの暮らしぶりを生々しく伝え、連日、多くの人が訪れました。

 万博から施設はなくなりますが、ウクライナ館の館長は、閉幕後も展示品の一部を残し、軍事侵攻の悲惨さを伝え続けたいと話します。

 (ウクライナ館 インナ・イリナ館長)「最近は攻撃も激しくなってきて。ウクライナ人は一生懸命頑張って、毎日のように停電やミサイル攻撃があるときはすごく頑張っているので、ウクライナのことを忘れないでほしい」

 そこで手を挙げたのが、ウクライナの名誉領事館が置かれている神戸学院大学。万博の展示品の一部を学内で展示することになり、10月27日朝、搬出作業が行われました。そして、約1時間後、展示品が大学に到着しました。

 ウクライナ館から引き取った兵士が使っていた損傷したヘルメットなど、7つの展示品が名誉領事館のあるフロアに並べられることになります。

 (神戸学院大のウクライナ研究者 岡部芳彦教授)「将来的には『ウクライナでかつて戦争があった』と言える時期がくると思うので、大阪・関西万博のレガシーとして意義があるんじゃないか」

 ウクライナ館の展示品の見学は、11月から申し込みを始める予定で、一般の人は事前申し込み制だということです。