母は「私が原因」と後悔口にするも… 事件後 教会への信仰心より強く

山上被告の母親が旧統一教会に入信したきっかけは、「夫の自殺」と山上被告の兄にあたる「長男の難病」だったという。

当時、家族の中で立て続けに起こった不幸に苦しめられていたと話す。

山上被告の母親
「(長男は)命に関わる病気だったから。右目の失明とか、頭の開頭手術とかね。そういうのをしているから、そりゃすごく辛かったですよ。なぜ私の子どもをって。自分の生き方がどうなんだろうって」

そんなとき、近づいてきたのが旧統一教会だったという。母親はその教えを聞いて、なぜ自分の身に悲劇が起こるのか、その理由がはっきりわかったと振り返る。

山上被告の母親
「夫婦の不倫があったり、犯罪があったり、戦争があったり、いろいろするのは、神様から堕落した故に、こうなってきたってことを聞いて納得した。なぜ堕落したのかを、じゃあどうしたらいいかを解き明かしてくださったのが、メシア(=救い主)なんです」

旧統一教会では、メシアつまり救世主が創立者の文鮮明氏であると信じられている。母親が入信を決め、献金を始めた。

山上被告は取り調べの中で、「母親の多額の献金のせいで、難病の兄が十分な治療を受けられず自殺した。自分も大学に行くことが出来なかった」などと供述している。

母親は多額の献金について、今どう思っているのか。

山上被告の母親
「お金のある人はたくさんすればいいし、ない人は別に少しでもいいけど、私の場合はちょっと考えずに(献金を)やり過ぎてしまった」

しかし、事件が起きたのは「献金だけが原因ではない」とも話した。

山上被告の母親
「あの子の心の本当は多分それじゃないと思います。何と言うか、愛の問題だと思う。家族での愛の問題。申し訳ないと思っていますよ。私が母親じゃなかったら、ここまで追い詰めなかったのになと思いますよ」

母親に山上被告に会いたいかと尋ねると、一言「会いたいです」と口にした。そして、事件の後、旧統一教会への信仰心がより強くなったと話した。

――ずっと信仰してこられたにもかかわらず、事件が起きました。信仰が報われなかったとは思いませんでしたか。

山上被告の母親

「宗教自体がそうですけど、何か起こったことに対して、常に自分を振り返るというかね。なぜかっていうのは、自分に原因があるって見ていくので」

――息子さんが事件起こしたことも、お母さんに原因が?
「そうですね」

――安倍元総理が亡くなられたことに対しては?
「申し訳ないと思っています」

――お母さんに原因があるとお考えですか?
「そうですね。私が原因だと思っています」

母親は28日に始まる裁判で、弁護側の証人として出廷する予定だ。

旧統一教会の問題を長年追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は、犯罪は絶対に許されないとした上で、こう訴えた。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏
「(山上被告の)背景に何があったのか。幼少期から母親の信仰によって宗教的な虐待を受けて、最初はその憤りが母親に向いたようだが、次は教団の幹部に向かい、最後は教団と関係を持ってきた政治家に向かった。なぜこの事件が起こってしまったのか、全体像を明らかにしてほしい」