私たちの身近な製品に欠かせない「レアアース」。豊富にあるとされるミャンマーでは鉱山開発が過熱し、周辺の国々で子どもの体内からヒ素が出るなど、ひどい環境汚染が起きています。さらに、これを加速させそうなのが米中の参入です。
ミャンマーと国境を接するタイ北部・チェンライの山岳地帯。
記者
「我々、タイ軍の特別な許可を得て国境地帯に来ているんですけれども、見えてきましたね。あちらはミャンマー側ですが、山の木々が大きく削られて、山肌があらわになっています」
JNNのカメラが捉えたのは、ミャンマー軍と地元の少数民族武装勢力の支配地で行われているレアアースの採掘現場です。
タイメディアなどによりますと、今年に入り、中国系の企業が開発を始めたとみられています。
記者
「多くのトラックや重機が行き交っているのが見えます。かなり大規模な開発が行われているようです」
スマートフォンやEVなど身近なハイテク製品に欠かせない鉱物資源・レアアースは、中国が生産や加工で高いシェアを持ち、世界の供給網をほぼ独占。産出量が世界3位とされるミャンマーのレアアースは、ほとんどが中国に輸出されています。
こうしたなか、アメリカのシンクタンクなどによりますと、2021年に起きた軍事クーデター以降の内戦の影響で、複数の少数民族武装勢力がレアアースを資金源にしようと、各地で開発を拡大させているということです。
問題は、環境リスクを無視した無秩序な採掘による“鉱害”です。その影響はタイやラオスなど周辺国にも及んでいます。
記者
「ミャンマーとの国境に近いタイ北部の川では、タイ政府の職員らが水質調査を行っています」
タイ政府などの調査では、メコン川やその支流で今年3月以降、ヒ素や鉛などの有害物質が検出され、最大で基準値の5倍に上りました。
現地メディアによりますと、川魚にこぶなどの奇形が確認されたほか、魚を食べた子どもの体内からヒ素が検出される事例もあったということです。
タイ・メーファールアン大学 スーブザグン講師
「(ヒ素などの)発生原因は他にも考えられますが、大きな要因は鉱山だといえます。周辺国は一致してミャンマー側に行動を求めていますが、ミャンマー側が対応を示さないため、国際的なメカニズムでは解決が難しい状況です」
タイ北部ではコメやニンニク、オクラなどの生産が盛んで、日本を含む海外にも輸出されていますが、一部の農家は輸出業者から取引を停止されました。
このままでは農業が壊滅的な状況になるとの危機感が広がっています。
農業組合の担当者
「栽培しても輸出などができないとの不安から、生産を諦める農家も少なくありません」
枝豆やオクラを生産する農家
「鉱山での採掘をやめてもらい、早く問題が解決されてほしい」
レアアースをめぐっては、中国が輸出規制を強化したことで、アメリカとの貿易摩擦が激化。アメリカやインドがミャンマーのレアアース確保を狙い、軍事政権や少数民族との接触を模索している可能性も報じられていて、今後、各国の争奪戦によって環境への影響がさらに広がることも懸念されています。
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