杉谷氏は石垣のもとに取材に行き、実際に打席で球を見たという。イチオシポイントを聞くと、「ストレートがとにかく武器。ホームベースを通過する時の球の強さが尋常じゃない。手元に砲丸が飛んできてるような力強いストレートが特徴です」と常時150キロ台を計測するストレートを絶賛した。さらに「打席に立って『怖さ』を感じた。投球フォームで足を上げた時くらいから、『あの真っすぐが来る!』と思ったら、怖さでかかと体重になってしまった」と数々のプロの投手と対戦してきた杉谷氏に、そう言わしめた。
取材した時のエピソードを聞くと、「『侍ジャパンで18番をつけたい』と話していた。背番号へのこだわり、『エース番号をつけたいんです』という負けず嫌いな一面が印象に残っている。またお茶目な一面も含めて、人間味溢れるところに好感を持ちました」とのこと。
石垣はドラフト1位が有力だが、気になる即戦力としての評価を聞いてみると、「今、プロの中に入っても、即通用するレベルのストレートは持っていると思うけど、1年間はまずプロの空気に慣れて、体力作りをして、1年目の後半に1軍でデビューといったイメージ。2年目で少し登板機会を増やして、後半からはもうチームの軸として投げてくれるのでは」と語った。「もう身体が完成されている選手なのかなと思ったけど、鍛え方によっては、伸びしろをまだまだ秘めてる、可能性に満ち溢れている選手」と直接取材をしたからこその見通しを話してくれた。
石垣が将来的はどんな選手になるかを聞くと、「体力をつけながらも、将来はもうチームのエース、そして日本のエース!2028年のロサンゼルス五輪で、アメリカの選手に向かって投げている。 2028年だから、石垣は20歳。でも、もう侍ジャパンに選ばれて、投げている。そんな選手なんじゃないかなと思っています」と大きな期待を寄せた。
「高校No.1投手」の石垣を何球団が1位指名するのか、どの球団が獲得するのか、運命のドラフトは10月23日に行われる。
連載の最後に、杉谷氏から全国の球児に熱いメッセージがあった。「今の野球界は、どこで誰が見ているかわからない。インターネット、SNSを通して、情報がたくさん出回ってるので、プロへ行くチャンスは確実に増えている。日本中でプロを目指している野球人は、最後の最後まで諦めないでもらいたい。ネバーギブアップ!」
■石垣元気(いしがき げんき)
2007年8月16日生まれ、18歳。180㎝78㎏。右投両打、投手。北海道出身
群馬・健大高崎では1年春からベンチ入り。2年春のセンバツで同校を初優勝に導くと、2年夏は甲子園2回戦敗退。今春は4強、夏も優勝候補に挙げられたが、初戦となる2回戦で敗退。U-18侍ジャパンに選出され、決勝でアメリカに0-2で敗れたものの、4回1/3を投げ、無安打1失点、157.9キロを計測した。

















