連日、各地で絶えないクマの被害に、毎年恒例のイベントが中止に追い込まれています。

子どもたちの居場所にクマが出ました。ここは青森県むつ市にある保育園。20日朝、クマは子ども達が過ごす園舎の目の前、この場所までやってきました。

クマは体長およそ1メートル20センチ。キウイなどが生っている木を揺らし、およそ10分後、姿を消しました。子どもたちは登園前で、けが人はなし。

しかし、今年度、むつ市ではクマの目撃情報が昨年度の10倍以上となる927件も寄せられています。

あすなろ保育園 保育士
「付近でクマが出ているので、外遊びは一切させていません。クマが来た時危ないから、ガラスのそばに寄らないようにしたり。職員としては心苦しい」

富山県立山町では、小学校の通学区域にクマが出ました。現場は住宅街にある、ごみ捨て場。20日朝、84歳の女性がごみを捨てに来たところ、後ろからクマに突き飛ばされ、さらに背中をひっかかれました。女性は軽傷ですが、ここ富山県でもクマの出没は急増中。今月は、去年10月の6.5倍に達しています。

記者
「立山町のこちらの小学校では、続々と保護者による送迎が行われています」

保護者
「クマ自体もどこの畑から出てくるか分からないような通り道なので。今週いっぱいは(送迎を)続けて、来週もどうするか週末に決める」

しかし、子どもの送り迎えを続けるかどうかは難しい決断になります。例年、クマの被害は10月下旬以降増える傾向があるからです。

福島市では、毎年恒例のイベントが中止になりました。2007年から続いているイチョウ並木のライトアップ。22日から始まるはずでしたが、この公園では8月にクマが男性を襲撃。今月は2頭のクマが駆除されました。

福島県県北建設事務所 企画管理部長 一条聡士さん
「お子さんをはじめ、色んな方々が散策されるという所で、リスクが高いのかなというところで、中止に至っております。毎年様々な年代の方が楽しみにしているイベントですので、正直、今回の中止というのは非常に残念です」

クマと遭遇するリスクを調べることはできないか。上智大学の研究チームが、AIを使った予測システムを開発しています。

こちらは秋田県内でクマと遭遇するリスクを示したもの。AIはまだ9月までのデータしか学習していませんが、20日、男性4人が襲われたエリアの周辺は…

上智大学大学院 深澤佑介准教授
「(今は)高いという予測になっておりまして」

システムは開発中で、的中率はまだ6割ほどですが、少しでも役に立ててほしいといいます。

上智大学大学院 深澤佑介准教授
「これまで(クマが)出たことがなかった場所でも警戒してもらえたらなと」