総理大臣指名選挙が行われ、新たな総理大臣に高市早苗氏が選出されました。日本で初めての女性総理です。新内閣を発足させた高市総理はさきほど会見を行い、「この内閣は決断と前進の内閣」と決意を語りました。
■「初日から全速力、トップスピードで」女性初の総理誕生
高市早苗氏が憲政史上初の女性総理大臣として臨んだ会見で、強い決意を述べました。
高市早苗 新総理
「国家国民のため全力で変化を恐れず、果敢に働いてまいります。そのための内閣を本日作り上げました。国家国民のため、結果を出していく。強い日本を作るため、絶対に諦めない。そう決意をいたしております。
日本の国益を守るため、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。内から外から日本は大きな危機に直面しています。立ち止まっている暇はございません。全力で、変化を恐れず、果敢に働く。初日から全速力、トップスピードで、閣僚の皆さんにはそれぞれの分野で任務を果たしていただきます。
衆議院・参議院ともに自民党と日本維新の会を合わせても、過半数には及ばない。少数与党による厳しく、また困難な船出でございます。それでも私は諦めません。この内閣は決断と前進の内閣です」
新しいリーダーを選ぶ総理大臣指名選挙は、21日午後1時から行われました。
議員が投票を行う中、国民民主党の玉木代表と、日本維新の会の遠藤国対委員長が投票順を譲り合う場面も。
そんな中、高市氏が投票を行うと、ひときわ大きな拍手が。そして…
「高市早苗君、237。内閣総理大臣に指名することにきまりました」
1回目の投票で過半数に達した高市氏が、第104代総理大臣に選出されました。
高市氏の地元・奈良県では…
奈良県民
「子供の頃からすごい知っている方だったので、ちょっとうれしい。物価高、やっぱりきついので、子育て世代は。そこが楽になったら良いなと」
奈良県民
「本当の本当に本当にやるよと言ってるから、やってくれるでしょう。サッチャー(元イギリス首相)を尊敬しとると言うんやから、がんばってサッチャーになってよ」
■“早苗カット”生みの親「鳥肌が立つくらい嬉しい」 地元からもエール
高市氏ゆかりの美容室からは、こんなエールが…
女性客
「自分の主張を頑張って押してほしい。周りに惑わされないで」
実は美容室のオーナー・新井幸寿さんは、「高市ヘア」の生みの親。1996年、高市氏が自民党へ入党するときにミディアムロングからショートヘアにカットしたといいます。
美容室-LUNEX- 新井幸寿オーナー
「勝手に『早苗カット』と呼んでいます。これグラデーションボブと言いまして、上がやや長めで、横は長くてシャギー感があって、あごのライン沿ってるんですけど、それを耳にかけることによって相手の話をよく聞く」
高市早苗総理大臣、誕生の瞬間は施術中だった新井さん。合間を見て、その瞬間の映像をチェック。
新井幸寿オーナー
「会ったときからずっと言われたことが今この瞬間現実になったんで、本当に鳥肌が立つくらい嬉しく思う。若い人に対しても夢・希望が持てる政治を敷いてもらえるのではと期待してる」
女性初の総理大臣となった高市氏は1961年、奈良県のサラリーマン家庭に生まれました。
神戸大学時代はバイクにまたがったり、ヘビーメタルバンドでドラムを叩いたりと青春時代を謳歌。
社会人になってからは、キャスターやコメンテーターとして活躍しました。
1993年、32歳の時に衆院選で初当選。
私生活では、2004年に自民党の山本拓元議員と結婚しました。このとき、乾杯のあいさつに立ったのが、当選同期の安倍晋三元総理でした。
安倍氏の支援を続けた高市氏は、45歳の時、第一次安倍政権で初入閣。“安倍路線の継承者”というイメージが定着しました。
2021年、初めて挑んだ自民党総裁選では3位という結果に終わりました。
政界で女性が存在感を示すことの難しさをこう語っていました。
高市氏(2021年9月2日『ひるおび』より)
「最初の選挙のころですごい辛かったのは、『女が国会に行って何できんねん』って。若いことと女性であることがものすごいネックになっていました」
3度目の挑戦でついに自民党総裁、そして内閣総理大臣の座を掴み取ったのです。
■海外メディアも速報「極右政治家」「強硬派」
マーケットは高市氏の動きに反応。この2週間あまり、株価は乱高下してきました。
10月上旬、高市新総裁が誕生し、日経平均株価は9日、史上初となる4万8000円台をつけたものの公明党の連立離脱などを受け、14日には4万6000円台まで下落。
ただ、その後再び上昇に転じ、維新との連立が合意した20日は4万9000円台と史上最高値を再び更新。
21日も高市新総理への期待感から歴史的節目の5万円まで、あと50円ほどの水準となる場面がありました。
高市新政権の船出に海外からは…
中国外務省 郭嘉昆 報道官
「中国と日本が歩み寄り、歴史や台湾などの重大な問題に関する政治的な約束を守り、両国関係の政治的な基盤を維持するよう望む」
一方、韓国の李在明大統領はSNSを更新し、「シャトル外交を通じて両首脳が頻繁に会い、意思疎通を行っていきたい」などとコメントしました。
ただ、市民からは…
ソウル市民
「保守色が強いので、隣国と対立するような状況を作り続けると思う」
韓国の「東亜日報」は「高市氏は“女安倍”と呼ばれる日本国内の極右政治家」と紹介。アメリカの主要紙も高市氏を「“ジャパンファースト”を掲げる強硬派」と評しました。
こうした海外からの懸念に対し、高市氏は…
高市早苗 新総理
「いろいろ懸念があるようですが、韓国のりは大好き。韓国コスメも使ってます。韓国ドラマも見ております。これから、また大統領とお目にかかれるようなチャンスを作れることをとても楽しみにしています」
■高市内閣スタート それぞれの顔ぶれは
高市早苗新総理を支える閣僚。
木原稔新官房長官による発表が始まったのは、午後4時半ごろです。
木原稔新官房官(56)
「総務大臣 林芳正 引き続き入閣」
総務大臣に起用された林芳正氏(64)。半月前は自民党総裁の椅子を争ったライバルです。
そのときのライバルはもう2人入閣。外務大臣に起用された茂木敏充氏(70)と、防衛大臣に起用された小泉進次郎氏(44)です。
経済産業大臣に起用された赤沢亮正氏(64)。石破内閣から引き続いての入閣です。赤沢氏といえば…
赤沢亮正 経済再生担当大臣(当時)
「トランプ大統領が私と会ってくださったことは、大変ありがたい。(私は)格下も格下。出てきて話をしてくださったことは、本当に感謝している」
経済再生担当大臣として何度もアメリカに渡り、トランプ関税の交渉役を担ってきました。
財務大臣に起用された片山さつき氏(66)。記者たちと雑談をしていると…
片山さつき 新財務大臣
「もしもし、はい行きます」
「認証式はロングドレスがいりますということで、単にロングドレスだけでした」
小野田紀美氏(42)は初入閣です。経済安全保障と肝いりの外国人政策の担当大臣に起用されました。
自民党の動画チャンネルでは、「不法滞在・不法就労・制度の悪用を許さない。日本人が真面目に納めている制度を悪用させない」と訴えていました。
こども政策担当大臣に起用された黄川田仁志氏(55)も初入閣。
黄川田仁志 新こども政策担当大臣
「私の担務といいますか、そこがちょっとはっきりしておりませんので、少しだけ教えていただけますでしょうか」
総裁選では、政策発表の会見で司会をしていたのですが…
(9月19日高市氏の出馬会見より)
黄川田仁志氏
「えー、じゃあ一番奥の机の…顔が濃い方」
高市氏
「なんてことを言う。『顔が濃い』…すみません」
次の質問者にも…
黄川田氏
「逆に1個手前の顔が白い…濃くない方」
高市氏
「すみません、司会者が…」
その後、自身の発言について陳謝していました。
皇居での親任式と認証式を終えた高市内閣。22日から本格的にスタートします。
■維新との連立政権発足 各党への挨拶回りの様子は
総理大臣に選ばれた後、各党へ挨拶回りを行った高市氏。
多くの国会議員を輩出している松下政経塾の先輩、立憲民主党の野田代表からは…
立憲民主党 野田佳彦 代表
「国会での論戦」
高市 新総理
「楽しみにしています。ありがとうございます」
野田代表
「焼き肉をごちそうできなくなりましたけど…」
高市新総理
「焼き肉?焼き肉連れていってくれるって言ったよね」
和やかなムードの一方…
公明党 岡本三成 政調会長
「満面の笑顔を作ります」
連立を離脱し、野党に転じた公明党。
公明党 斉藤鉄夫 代表
「これから建設的な議論をしっかりさせていただきます」
高市 新総理
「各党合意中のものや、協議中のものは引き続きよろしくお願い申し上げます」
トップ同士のこのやり取りは、視線を交わすことなく行われました。
一方、新たに与党として連立を組む日本維新の会。終始リラックスムードが漂います。
日本維新の会 藤田文武 共同代表
「お花とか用意すれば良かったかな」
日本維新の会 吉村洋文代表
「ミャクミャクも」
藤田 共同代表
「ちょっと転がっているやつないかな」
その数分後、姿を見せたのは…
石破茂 元総理
「これがいないといかんわな」
吉村 代表
「総理に感謝状をいただいたので、ミャクミャクをプレゼントしようと思って」
石破 元総理
「くれるの?これ」
吉村 代表
「1週間前から準備してました」
新しい枠組みでの船出となる高市政権。物価高対策などの政策を推し進めていくため、野党の政策提言も受け入れる姿勢を示しました。
高市 新総理
「全ての野党の皆様に引き続き、協力を呼びかけてまいります。私達の基本政策と矛盾しない限り、原則として、政策提案を受け入れる方向で前向きに議論してまいります。最大限の柔軟性を発揮していく準備が私達にはございます。それが国家国民のためであるならば、決して諦めない。これがこの内閣の不動の方針でございます」
■“女性初”総理大臣 閣僚担務に“高市カラー”か
藤森祥平キャスター:
総理は21日、夜10時から記者会見を始め、終了直後に初めての閣議が行われ、高市内閣発足となりました。
独特のユーモアも交えながら笑顔で、でも力強く、「閣僚には働いてもらいます」と繰り返しお話されていました。
小川彩佳キャスター:
まずは女性として、初めてこの地位に立つという重みに敬意を払いたいですし、景色が変わることというのは本当に大きなことだと思います。
ただ、この光景を当たり前にしていくためにも女性に限らず、より多様な声がのびのびと発せられる社会に繋げていっていただきたいですし、分断を広げることのないリーダーシップに強く期待したいなと感じます。
株式会社QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
政治の世界なのでどうしても前例が大事になってくる。女性首相誕生ということにはすごく意味があるし、高市氏の場合は非世襲で、女性首相という2つの要素を持ち合わせてここまできたのはすごいことだと思います。
藤森キャスター:
高市内閣の顔ぶれを見ると、注目された女性の閣僚は2人でしたが高市総理としては「機会平等で。とにかく適材適所」という言い方を強調していました。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
今回の注目点の1つは、高市総理が今までに内閣になかったポストをいくつか作ったことです。
例えば、片山さつき氏は財務大臣ですが、新たに租税特別措置・補助金見直し担当大臣も務めます。城内氏は日本成長戦略担当大臣、それから賃上げ環境整備担当大臣。そして、小野田氏は経済安全保障担当大臣ですが、併せて外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣というものを務めます。
つまり、高市氏が「こういう政策をやっていきたい」ということ。“高市カラー”が滲んでいるのかなと思います。
「租税特別措置・補助金」というのは、何か無駄がないか。あるいは充実させるものがあるのか、ないのか。「日本成長戦略」・「賃上げ環境整備」というのは、成長させて賃上げしていかなければいけない。
それから、「外国人との秩序ある共生社会」というのは、参議院選挙のときにも各党から「規制を強める適切な規則を作らなくてはいけない」という議論がかなりありました。これを小野田大臣のもとでどのようにやっていくのか。新しい注目点です。
小川キャスター:
「秩序ある」という言葉に意志を感じますね。
■高市新内閣 物価高対策どう進める?
藤森キャスター:
そして、物価高対策は連日のように待ったなしと言われています。
高市総理としては、「手取りを増やして家計の負担を減らすための経済対策を行っていく」とのことです。
「ガソリン暫定税率廃止」については行っていく方針ですが、連立を組んでいた公明党が求めていた「一律現金給付」は、「やらない」とはっきりと会見でも話していました。
そして、新たなパートナーである維新が求めてきた「食料品消費税2年間ゼロ」については検討案件だそうで、実際に行われるかはやってみないとわからないということです。
岩田 政治部長:
高市総理も物価高対策は重要だと話しており、先ほど初閣議でも閣僚に対し「経済対策の取りまとめを指示する」と話していました。
懸念点としては、連立を組んだ維新が「議員定数削減がまずやるべきことであり、最初の試金石だ」と言っているので、議員定数削減と物価高の問題をどのように、どんな順番でやっていくのかが気になるところです。
藤森キャスター:
それは会見でもはっきりとは語られていませんでした。
小川キャスター:
一方で、市場は“高市トレード”ということで非常に盛り上がりを見せています。伊沢さんは経営者として、高内総理の経済政策にはどんなことを期待しますか。
伊沢拓司さん:
市場に関してはどうなるかわからないのですが、先ほどの会見ではかなり経済政策よりのお話が多かったなと。ここ数日どうしても政局に寄った、議員定数削減の話が多かった。参院選のマニフェストにはなかったものが、この秋の国会で議論されるとなると、それは順序が違うのではないかと思っていたので、今回の会見を聞いて安心しました。
一番国民が求めている経済対策をやってくれるのは、ひとまずありがたいことだと思っています。どうなるかは進んでみないとわからない部分もありますね。
藤森キャスター:
今回「決断と前進の内閣」というタイトルで話をされていましたが、実際には物価高対策のプロセスや実行力など、その真価が問われると思います。財源やスピード感などをもう少し具体的に語って欲しい気もしました。
岩田政治部長:
そして、もう1つの大きなテーマが27日からのトランプ大統領との会談。トランプ大統領がいきなり難しい課題を突きつけてくるのではないかという話もありますが、政府内では「石破政権が続いていたとしたら、既に様々な関係ができているが故に難しいボールも来るかもしれないが、新しい総理に変わったことによって逆にいきなり難しい話ではなく、もう少し広い話になるのではないか」という見方もあります。
ただ、トランプ大統領なので、どうなるのかはわかりません。
高市総理自身は、会見で「率直な意見交換を通じてトランプ大統領と首脳同士の信頼関係を深めていきたい」と話していました。
小川キャスター:
これまでにトランプ大統領は自身の交渉術について、「まずはじっくり人を見る。観察するんだ」とも語っていますから、初日から試されるという展開にもなりそうですね。
========
<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
伊沢拓司
株式会社QuizKnock CEO
注目の記事
「また無くなるのでは」と買い占めも…コメ豊作なのに続く高値「増産」は実現可能なのか?【Bizスクエア】

うどんを食べて育った「讃岐うどん雲丹」?!不思議な “食事シーン”をご覧あれ 水産科の高校生が飲食チェーンと共同研究し商品化【香川】

『あの外国人女性はどこに?』1970年万博パビリオンで忘れられない出会い 77歳男性の願い叶うか―― 55年ぶりの万博で起きた奇跡に密着

「ママ、涙が止まらなかったんだよ」2歳の娘にいつか伝えたい 消えたぬいぐるみ「コアちゃん」のこと 40軒の聞き込みとSNS、海を越えた宝探しが繋いだ“再会”

父親の腎臓を移植した男性 “使命感で” 体育教師の夢捨て人工透析の技士に 31年後に再発…「お父さんが危ない」次に命をつないだのは-

原因はまさかの“ヘビ”…変電所内で体長約1.5m、焦げた状態で見つかる 県西部で約7100世帯の停電 富山
