いわゆる「松橋事件」をめぐり、再審で無罪になった男性の遺族が、国と熊本県に損害賠償を求めている裁判の控訴審が、10月20日に福岡高等裁判所で始まりました。
当時51歳だった宮田浩喜さんは、1985年、当時の熊本県松橋町で知人の男性を殺害したとして逮捕・起訴され、懲役13年の判決が確定しました。
宮田さんは一貫して無実を主張していましたが、服役後に裁判所が再審開始を認め、2019年に無罪が確定しました。

しかし、判決では冤罪につながった原因について言及がなかったため、国と熊本県に合わせて約8500万円の損害賠償を求める裁判を起こしていました。
今年3月の熊本地裁の判決では「検察側に違法性があった」として遺族側の請求を一部認め、国に賠償を命じる一方、県への請求は棄却しました。
これを受けて、遺族と国はそれぞれ控訴していました。
そして10月20日に始まった控訴審で、遺族側は改めて熊本県警の捜査の違法性などを訴えました。

遺族側の弁護団によりますと、控訴した国側は、1審で敗訴した部分の取り消しなどを求めたということです。