「静岡から来た流木は請求できる?」処理費用は膨大な金額

大量の流木とゴミは一体どこから来たのでしょうか。
ゴミ拾いの参加者が浜で見つけたのは、となりの静岡からきたと思われる杭や看板。清掃するたびに次々と見つかるといいます。
(豊橋技術科学大学・加藤茂教授)
「静岡の方は結構大きい川がありますので、内陸側から河川を通って(流木や土砂が)出る可能性はあると思う。愛知はちょっと出そうな場所がないので」

もともと表浜海岸は静岡県浜松市の天竜川が押し流す土砂が渥美半島沿岸に堆積して出来た砂浜。台風の影響で、天竜川を通って海に出たものだけでなく、静岡市などで出た流木やゴミなども海流や風で打ち寄せられた可能性があると指摘しています。

(豊橋市役所・農地整備課・杉浦伸尚課長補佐)
「国の方にも申請しているが、豊橋だけで(処理費用は)1億3000万円くらいを予定している」

豊橋市は国の災害支援制度を活用して流木の処分費用の半額を補助してもらうよう調整を進めていますが、半分でも負担は6550万円となり大きな負担です。豊橋市に加え田原市の海岸まですべての流木を撤去すると7億円以上になる大事業。そこで、今月開かれた豊橋市の臨時議会では静岡県に交渉しないのかという意見も出ました。
(本多洋之市議)
「静岡県からの流木であった場合、費用を請求する考えはないのか」
(市の担当者)
「どの地域の土砂崩れによるものなのか、山林の所有者は誰なのかなど特定できない。特定できても海岸漂着物処理推進法により、処理責任は海岸の管理者にあるされていて費用負担を求めることはできないと考えている」
「船が出せてよかった!」漁の再開…でもまた流木が流れ着く
表浜の高豊漁港で刺し網漁を行う朝倉克尚さん。流木のためおよそ1か月にわたり漁ができないでいましたが、10月に応急処置として市が200メートル分流木を撤去したことで漁を再開することができました。ちなみにこの時もおよそ200万円がかかりました。朝倉さんは、船が出せて安心したと当時を振り返ります。

ところが、その安心も束の間で、流木を撤去した砂浜に潮の満ち引きなどの影響で、別の場所にあった流木が流れ着いています。
(漁師たち)
「流木に当たったら、船が割れちゃうかもしれない」
「(流木は)邪魔で危ないし網に引っかかる。全体がきれいにならないと、どうしても(流木が)流れてくる」
(表浜・高豊漁港の漁師・朝倉克尚さん)
「できたら早くきれいにしてほしい…」

来年1月から本格的な撤去工事が始まるものの、海岸から完全に流木を引き上げるまでかかるとみられる期間はおよそ5か月。焼却など最終処分の完了は来年いっぱいまでかかると見込む豊橋市。ここで暮らす人にとってもウミガメにとっても大切な浜が元通りの姿を取り戻すまでにはまだ時間がかかりそうです。
CBCテレビ「チャント!」11月29日放送より