脱炭素社会の実現に向け、国が普及をすすめる「太陽光発電」ただ、太陽光パネルを設置している建物は万が一、火事になった場合、設置していない建物と比べ消火活動が困難になるというリスクをはらんでいます。

この課題を解決しようと、北九州市立大学では新たな技術開発が進められています。

太陽光パネルが消火活動の妨げに

熊本県益城町にある住宅で、3年前に起きた火事です。

「突然、屋根が燃え出した」という通報を受け、消防が駆けつけ、消火活動を行いましたが、火が完全に消し止められるまでに約4時間も要したのです。

地元の消防局は、消火に時間がかかったのは屋根に設置されていた太陽光パネルが原因だとしています。

太陽光パネルが設置された住宅の火災は、設置されていない住宅の火災と違う点があるといいます。

熊本市消防局 予防部予防課 火災調査班 松山仁宣 主幹
「太陽光パネルがついている方がやはり消防隊員が気をつけるポイントが増えるのかなとは思います。太陽光パネル自体、光を受ければ発電を続けますので、どこから電気が漏電しているかがちょっとわからないっていう可能性もあります」

発電止めることができない太陽光パネル

太陽光発電は、太陽の光を太陽電池にあてることで太陽光エネルギーを電気に変換する仕組みになっています。

発電を止めるスイッチなどはなく、光が当たっている間は電気が絶え間なく作られているのです。

製品の事故調査などを行う「NITE」によると、太陽光パネルなどの発電設備の事故は、2024年度までの10年間に全国で260件発生していて、このうち、約9割で火災が起きています。

熊本市消防局 予防部予防課 火災調査班 松山仁宣 主幹
「電気は流れが目に見えないのでやっぱり電気は怖いですね。日光を完全に遮断してしまえば完全に電気の流れを止めることは難しいかもしれないんですけど、要は電圧を落とすってことにつながるのかなと思っているので、少しでもやっぱ光の量を減らしてあげるっていうのは大事かなと思っています」