「打てるっていう感覚に戻った」
約1か月の再調整期間も「打てる感覚」は戻りきらず、不安な状態のまま8月7日に1軍へ。だが、その瞬間は急に訪れた。13日のヤクルト戦(神宮)で6回に代打で出場し、53日ぶりとなる7号3ラン。試合前練習で「完璧に戻ったっていう感覚があった」という。
過去には「かかとに重心がかかる」ことを嫌い、自らタイヤを切って作ったサンダルを履いて身体の感覚を研ぎ澄ませるなど、日頃から「重心」や「感覚」を大切にする筒香。かかと重心になることで「(身体が)突っ込んで、足が我慢できないから、変化球振るし。足の反応ができないからストレートに振り遅れるしって感じだった。足が決まったから、もう『打てるっていう感覚に戻った』という感じ」と、振り返る。
思っていたとおり、結果はすぐに現れた。24日の巨人戦で8号ソロ、いずれも阪神戦の8月26日には2打席連続、27日には7年ぶりとなる3試合連続アーチ。さらに30日の中日戦では1試合3本のアーチを描くなど打ちまくり、月間8本塁打と存在感を示した。調子が上がっても、打席に入るときは「無」だという。「練習も試合も変わらない。それが一番いいよ」と“心の重心”にズレはない。
11日からは、チームとしては2年ぶり、筒香にとっては渡米前最後のシーズン、2019年以来6年ぶりとなるハマスタでのクライマックスシリーズが始まる。前回は3試合で2本のホームランを放っている筒香。「ホームだからファンの方も盛り上がる。それを力に変えて頑張ります」。2年連続の日本一へ、頼れる男の一振りでハマスタを沸かせる。