様々なモノの値上げが相次ぐ中、名古屋のタクシーも12月5日から値上げです。背景には業界の厳しい現状が。


5日、夜明け前の午前4時。名古屋市中区のタクシー会社を訪れると、午前5時からの運賃の値上げに向けた準備が進められていました。

きょう(12月5日)から名古屋市内とその近郊では、普通車の初乗り運賃の上限額が、これまでの450円から500円に。
また、加算運賃は約230メートルで、これまでの80円から90円にと1割以上の値上げに。
名古屋駅から名古屋城まで約2.5キロだと、値上げ前は約1010円でしたが、これが1130円になる計算です。

タクシーの値上げは消費税アップも含めると、この15年で5回目。値上げが繰り返されていますが、タクシー運転手に話を聞くと…。

(タクシー運転手)
「タクシー運転手の売り上げや給料が少なくなっていて、辞めていく人も多い。お客さんには負担になりますけど、会社も運転手も売り上げが上がっていくから、生活環境が少しでも改善すれば良いなと思います」
利用者側に話を聞くと…。
(利用客)
「タクシーの運転手の生活を考えると仕方ないのかな」
「タクシーの運転手さんがいないということで。その分、運転手さんの賃金を上げていただいて、運転手さんが増えることを期待している」

「名古屋タクシー協会」によりますと、新型コロナの流行で売り上げは一時、以前の3割程度にまで落ち込みました。
ここ数か月はコロナ前の8割ほどに利用客は戻ってきましたが、売り上げが下がっている間にドライバーが大勢辞めたため、人手不足が深刻な課題となっています。

(名古屋タクシー協会 天野清美会長)
「名古屋地区だけではなくて全国的に同じ傾向。タクシードライバーは全国で約30万人いたが、現在約24万人ということで2割減っている」
タクシーの台数に対して運転手が足りず、配車できないケースも起きているといいます。
(名古屋タクシー協会 天野清美会長)
「タクシードライバーがエッセンシャルワーカーとして、コロナ禍でも仕事をしているわけなので、年収の増大を図っていきたい」

歓迎できない値上げですが、厳しい状況が続くタクシー業界にとっては今回の値上げに業績回復への望みをかけています。