今年のノーベル化学賞に選ばれた京都大学の北川進特別教授。お祝いムードの中から聞こえてきたのは、北川教授の優しく、穏やかな人柄でした。

 10月8日、ノーベル化学賞の受賞が決定した京都大学高等研究院の北川進特別教授(74)。9日朝、大学では職員らが拍手で出迎えました。一夜明けた感想を聞かれると…

 (京都大学 北川進特別教授)「ノーベル賞をもらうというか、そういう発表をされると、今までただのおじさんが急に変わるんですね、取り扱いが。いつも祈っていることは、自分の人生平穏で生きられますようにと。いい意味で平穏でなくなったんで、どうしようかなという気はあります」

 北川特別教授は、無数の細かい穴があいた「金属有機構造体」を開発し、そこに
大量の気体を取り込めることを世界で初めて立証しました。

 研究室で北川特別教授はどんな人か聞いてみました。

 (京都大学高等研究院 坂本裕俊特定講師)「(Q北川先生はどんな人?)基本的に優しい先生ではあるんですけど、(研究の)データ出しても、おもしろいストーリーを言えなかったら『そんなのは日記だ』と」

 中学から大学まで共に過ごした同級生は、北川特別教授を「とても柔和な性格だった」と評します。

 (同級生で京大名誉教授 大浦康介さん)「(中学で)校庭でバレーボールやっているのが今でも目に焼き付いています。常にほほ笑んでいる印象が僕にはありますね」

 いまでは京都大学で副学長も務める傍ら、若手研究者を対象とした学術賞を創設するなど、研究者の育成についても力をいれています。

 2002年、同じノーベル化学賞を受賞した田中耕一さん(66)も、今回の北川特別教授の受賞に喜びを語りました。

 (2002年ノーベル化学賞 田中耕一さん)「これでまた日本の発想が起点になったと認められたということと、私自身質問や取材を受けることが少なくなるなと思っていたのですが、期待を裏切られました」

 そして午後5時すぎ、この人からもお祝いの電話が…

 (石破茂総理)「北川先生こんばんは。総理大臣の石破でございます」
 (北川進特別教授)「こんばんは」
 (石破茂総理)「先生、夕べ寝られました?」
 (北川進特別教授)「がまんしてます」
 (石破茂総理)「すみませんお疲れのところ。われわれ日本としても世界に誇る思っております」

 (北川進特別教授)「これからは気体の時代だと私は思っています。よく考えてみたら窒素・酸素・水素・炭素はわれわれの体をつくっている。どんな国でも資源としてどんどん使える。空気で世の中が回るようになる」

 授賞式は、12月10日にスウェーデンのストックホルムで開かれる予定です。