世界が評価「多孔性金属錯体」どう活用? 秘められた無限の可能性

藤森祥平キャスター:
今回、北川さんが開発・研究されている「多孔性金属錯体」。応用例としては、▼大気中の汚染物質を効率的に除去したり、▼危険なガスを蓄えて貯蔵、それを安全に輸送したりすることなどに利用できます。

科学ジャーナリスト 寺門和夫さん:
今、地球規模で課題になっている問題、汚染物質の状況への対処など、応用範囲は広いのではないでしょうか。

小川彩佳キャスター:
北川さんと中継を結びます。ノーベル化学賞の受賞決定、おめでとうございます。

藤森キャスター:
多孔性金属錯体が発見され、構造の無数の穴に空気を閉じ込めていく。これを北川先生は将来、どのように活用して、どんな未来を思い描いていらっしゃるのでしょうか。

京都大学 北川進 副学長:
私は空気から、非常に有用なものを取り出したいと思っています。

空気は二酸化炭素、それから酸素、窒素、そして水蒸気でいえば水が入っています。普通は混ざりもので、また濃度の薄いものもあるので、なかなかそれらを分離して取り出せません。それを選択的に取り出すことによって、いろんなものに変換していく。そして、それが燃料の場合は燃えて、また空気へと戻るという循環も可能になります。

私は、空気のことを“目に見えないゴールド”であると考えています。というのは、世界的にどんなに国土の狭い国であろうと、空気は平等に存在します。要するに、空気が枯渇することはありません。ということは、国同士が空気を巡って資源競争をする必要がない。各国が競争、競合をしなくていいということになります。

それから今、地球温暖化の問題で二酸化炭素やメタン、ノックスのような温暖化物質が大気中に存在しています。それを効率よく除去すること。また地球温暖化において、CO2(二酸化炭素)というのは悪者になっていますが、私達はCO2というのは炭素資源だと考えています。有効に使うことによって、地下資源を取り出さなくても、空気から取り出して循環させることができる。そういう夢が実現できればと思っています。