直木賞作家 真藤順丈

――2度の撮影延期があり、戦後80年というタイミングで映画化になりました

真藤
コロナ禍で撮影が延期になって、大きなプロジェクトなので、1回飛んでしまうとまた主要キャストやスタッフを集めたりするのは、すごく大変だったと思うんですけど、公開にこぎつけたのは、すごいことだなと思います。

タイミングで言えば宝島を刊行した時も、色々なことに重ね合わせて「メモリアルな年になりましたか?」みたいなことを言われたんですけど、それこそ “復帰何年” とか、“戦後何年” はずっと重なっていくことですから、常にメモリアルという感じは、僕はあります。

戦果を挙げる者たち= “戦果アギヤー”

原作の小説「宝島」は、500ページを超える長編だ。1952年、米国統治下だった沖縄で、軍事基地に潜入して食糧や日用品などを持ち帰る “戦果アギヤー” だった若者たちの20年を描く。

映画『宝島』の1シーンから Ⓒ真藤順丈/講談社 Ⓒ2025「宝島」製作委員会

映画では妻夫木聡が主演を務め、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太らが共演。名匠・大友啓史監督がメガホンを取り、沖縄が “アメリカ” だった時代の不条理が壮大なスケールでスクリーンに映し出される。映画化の話に真藤は、「20年の長い年月を描いた作品をどう撮るのだろう」と思ったという。しかし作品を観て、そんな疑問は払拭されたようだ。