浜松市消防局は2025年7月、暗闇での活動や避難誘導を格段に高める機材を開発しました。「光の道しるべ」となることで予期せぬトラブルでも冷静な判断につながると全国の消防機関から注目を浴びています。
日々、命がけの消火活動にあたる消防隊員。浜松市消防局は2025年、活動の安全性を高めようと新たな機材を開発しました。
<浜松市消防局 村松弘一郎消防士長>
「これが私が開発した光イチローです」
その名も光(こう)イチロー。光イチローは、ケーブルをボックスの中に通すことで瞬時に光らせることができるすぐれものです。
<村松消防士長>
「消防職員が屋内侵入時に使用する資機材として、光を蓄えることで光るケーブルを使用しています。資機材(=光イチロー)の床面に設置してあるUVライトを光らせることで、(ケーブルに)光を蓄えさせることが可能となっています。通常、このような袋に収納しておりますので、光を蓄えることができず、(ケーブルを)有効に活用することができていないような状況でした。そのため、こちらの資機材(=光イチロー)を使用して光らせることに成功しました」
光イチローの中には、UV=紫外線ライトが付いていて、ケーブルを通過させると数秒で光を蓄えることができます。ケーブルは、酸素ボンベの活動可能時間と同じ、約20分間にわたって、光り続けます。
<村松消防士長>
「安全な位置で待機する隊員とつながる命綱となるようなコードとなっています」
「侵入開始」
9月下旬、浜松市消防局が行った訓練。倉庫の電気をすべて消し、暗闇の中から要救助者を探しだすというものです。
「緊急退避開始」「緊急退避了解」
緊急退避の指示に、暗闇で活動する隊員は光るケーブルを頼りに避難します。ケーブルは避難経路を示すため、予期せぬトラブルにあっても、冷静な判断につながるといいます。
<浜松市消防局 中消防署 竹村博己消防司令>
「(予期せぬ事態のなか)予期せぬ行動をとってしまい、隊員が離れるなどして事故が起きてしまうケースがあります。光をパッと見ることで(退避の)道しるべができている。そうすれば、視界に入ることですぐさま行動に移せるというところで安全性は上がっている」
発表から2か月。すでに評判は広がっています。
<株式会社カネコ 大野貴子営業推進役>
「複数の消防本部から問い合わせをいただいておりまして、デモ会での反応もよく開発してよかったと思う」
光イチローの技術は防災の分野でもさらなる応用の可能性を秘めているといいます。
<大野営業推進役>
「停電した暗闇の中ではいざというときの避難誘導代わりになって、UVライトを組み合わせることで、さらに防災分野に活用されることはあると思う」
<村松消防士長>
「すこしでも市民の方々の安心安全につながるといところで、全国的に広がればうれしいところです」