日本代表の重圧 世界選手権での引退決意
▼タンブリング 日本代表 又吉健斗選手
「日の丸を見るだけで震えるときもありますし、それぐらい自分が『日本代表』は特別なものだと捉えています。成功だけが全てじゃない競技なので、ミスをしてしまったらと考えると、眠れなかったり震えたりというのはあります。試合前は、試合の夢を見たり、ぱっと起きてしまったり、失敗した夢を見てなんか怖くなったりとか、試合1か月前になると絶対にそういう日常が来るので……。これ以上続けるとタンブリングが嫌いになりそうな感覚もあって、それだけが怖くて、やっぱり今は世界に向かって、楽しんで終われるところで終わりたいなと思います」
幼い頃から目指した“日本代表”に、強い憧れと責任感を持つからこそ生まれるプレッシャーとの戦い。そんな姿も子どもたちに見せながら、競技者としての引退を迎えることを決めていました。
この日も一緒にトレーニングを行う子どもたちの目の前で代名詞の「伸身2回宙返り3回ひねり」に成功させた又吉。そんな姿に子どもたちは―。
▼子どもたち
「自分もあんなふうになりたいと思いました。技の難度もあるけどめっちゃきれいに演技するのがすごいです」
「又吉先生と一緒に練習するときが、一番楽しい練習ができる」
▼タンブリング 日本代表 又吉健斗選手
「子どもたちがすごく楽しそうにこの競技をやっているときは、やっぱりこの競技は楽しまなきゃダメなんだと実感しますし、ちょっとした成長をみんなで喜ぶ姿を見たときは、『自分もこうだったな』ということをたくさん思い出させてくれます。目標に向かって走る姿や諦めないで立ち上がる姿を見て、とても胸が熱くなることがたくさんあります。11月の世界選手権が最後になりますけど、日本人史上初のファイナル進出とメダル獲得をめざして、最後の最後まで自分らしい演技をしていきたいと思います」
現役最後の世界選手権に向けて、子どもたちのパワーも大きな力にして―。日本タンブリング界の歴史を塗り替える演技をめざし、又吉が“最後の世界の舞台”に挑みます。