1966年、静岡県清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社専務一家4人が殺害された事件の再審で袴田巖さん(89)に無罪が言い渡されてから9月26日で1年です。
姉のひで子さん(92)は「死刑囚」の立場から解放された袴田さんの1年間を振り返るとともに、再審制度の見直しを訴えました。
<袴田ひで子さん>
「もう心配することないからうんと気が楽になった」
長年、「死刑囚の姉」というあまりにも重い十字架を背負わされてきた袴田ひで子さん。無罪判決から1年、「いうことを聞くようになった」と弟・巖さんの変化を語りました。
1966年、今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件の再審=裁判のやり直しで、静岡地方裁判所は2024年9月26日、袴田巖さんに無罪を言い渡しました。
<ひで子さん>
「(無罪判決後に)外に出て、皆さんが良かったねっていっていただくでしょ。その雰囲気をつかんでいるのか、だいぶ明るくなりましたね。表情がよくなった。柔らかくなった」
最近は少しばかり、表情が明るくなったという袴田さん。変わるものがある一方で変わらないものもあります。ひで子さんは「冤罪というのはなかなかなくならない。冤罪被害者は、何年も苦しんでいる人もいる。そういう人のためにも再審法改正は、ぜひ実行してもらいたい」と訴えます。
刑事裁判をやり直すことについて規定したいわゆる“再審法”は、いまの刑事訴訟法が制定された1948年以降、一度も変わっていません。
この“再審法”を巡っては、現在、法務大臣の諮問機関の法制審議会で法改正が議論されていますが、いまだ、改正には至っていません。
無罪判決から1年、静岡市では、静岡県弁護士会が国会で再審法の改正案を早く可決してほしいと訴えました。
<プロジェクトチーム座長 大多和暁弁護士>
「法律案の審議についてはもっともっと早くやってほしい」
長年の拘留によって、いまも意思の疎通が難しい袴田巖さん。同じような悲劇を繰り返さないためには、再審法のあるべき姿を見つめ直す必要があります。